第5話
*
・
……あぁ、眠い。
5月、ちょうどよく、暖かい。
窓際一番後ろっていう誰もが羨むその席は、先生の目が届かないことに加えて窓から差し込むぽかぽかのおかげで完全に体はおやすみモード。頬杖をついて顔を固定していないと、頭は一瞬で重力に負ける。机まで一直線だ。
勉強はそれなりにできるから正直先生の話なんて聞いていなくても良いけれど、ついうっかり寝てしまって先生に目をつけられてしまうことは避けたい。もうこれ以上、目立ちたくないのだ。
「……
ふと隣から、そんな私の様子を見たのか声が飛んできた。小さい声で私にしか聞こえないような声。
声のしたほうへ、右隣に視線を向けると、同じように私のほうを見ていたその人とバチっと目が合う。それからその人はくいっと口角を上げて、また口を開く。
「まぁ今日あったかいし、この授業いつも眠いしねー。……あ、それとも昨夜はそんなに神崎先輩と盛り上がった?」
「今日先輩と一緒だったの見てたの?いつも通りだよ」
「てことは奥突かれてないたでしょ」
「……うるさ」
「否定しないんだ、かわいー」
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