第七話 生埋め
母や纏足の先生に教わったように、献身的に従事している内に朝となってしまっていた。
王様は果て疲れて深く眠っている。
エラは乳母を家に置いてきたままだったことを思い出しました。
自慢の演舞を大勢の人に披露するだけで帰宅する予定だった当初から、思った以上に上手く行った流れに身を任せてしまっていて焦るように城を後にします。
乳母は大丈夫と言っていたけど、あの時やってきた馬車と使いの人はエラを乗せてきた者のみだった。
再度、貴族の仲間入りを果たし乳母をまた召し使える為だと、家を発つ時はその背中を押された勢いで自分を誤魔化してきた。
そして、義母たちよりも早く戻ればいいと考えていたのに・・・・・・
王様を起こしては帰ることも出来ないと考え、着てきたドレスだけを纏い裸足のままやってきた馬車を探し御者を叩き起こしました。
義母も姉たちもエラと同じように、別の誰かの紳士を”落として”いれば問題がないかもしれないが、昨夜の舞踏会が終了して帰路へ着いていたとすると、もしかして乳母と鉢合わせているかもしれない。
エラをこの舞踏会へ促したのが乳母だと知られてしまえば、義母たちはなにをしでかすか昨日のあの形相から考えると恐ろしくなりました。
御者がまだ寝ぼけたままで不服そうにしているので、昨夜の王様と同じようにまた「施術」をしてあげ、目を覚まさせてあげます。
急ぐようにと御者も、馬たちへの鞭に撓りを咥えました。
エラが帰宅すると、義母たちはエラの罵ったり叱咤することは無く、ただ存在してないように無視を決め込みます。
「あ、あの・・・・・・」
条件反射かのように、舞踏会や王様との夜とは打って変わり家と義母たちに対しては消極的になってしまう。既に日々の習慣として染みついてしまっていたのです。
エラの呼びかけにも、義母たちは聞こえていないかのように無視してくるので、エラは痛む足を我慢して周辺へと乳母を探しに出かけました。
手玉に取った御者にもお願いして、少し遠方へと探してくれるようにお願いをする。
家の周りを一周し、物置小屋と化した離れも確認するが、どこにもいない。
これも、経験と勘だけだが嫌がらせを受けない日なんてなかった日々が、今の「無視」が最悪を物語っている。エラの顔を見るや否や、ストレス発散かのように厭味や嫌がらせ、難癖をつけてくる人たちがよりにもよって、意中の王様を横取りするかのように一発で魅了させたエラに対して、何もしない訳が無い。
その想定がエラをより焦らせて、様々な野菜を栽培してる庭先で大きく転んでしまいました。
何かに躓いたのもあり、その障害物を見てみるとそれは、人の手が土の中から指が四本、まるで触覚かのように飛び出ていたのです。
エラは更に最悪な状況を想像しながら、泣きながら土を素手で掘り返していくと案の定、乳母の土だらけとなった顔が出てきました。
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