第二話 灰かぶりの エラ

 纏足がなぜこんなにもモテるのか。


 それは多くの要素が含まれていて、一つは千年以上も続いた風習により美意識そのものが足の大きさにあるとか。

 つまり、大きな足はそれこそ田畑を耕すのに足腰がしっかりしていなければならず農民向けという証となり、小さい足は上級国民だという正に「背伸び」のような感覚であった。


 もっともっと西の国では「割礼」といわれる儀式を行うように、そういった「通過儀礼」を通らぬ者はそもそもに対等に扱われないという一面もある。


 他には「室内奉仕としてしてもらい、様にする」という面もあり、歩行を困難にすることこそが重要だという点や、そしてその覚悟と奉仕的精神があるという証にもなるそうな。


 痛みと炎症の最中でも、農作業といった「あえて歩かせる」こともしていて、その方が治療になるとも言われている。

 しかしその「訓練」の実際は、地面との設置面積を小さくし不安定な歩行、『つま先』立ちにより内ももの筋肉などが発達し、が鍛えられが通常以上に良いとの噂が求める側に知れ渡っていることにより、多くの需要が発生している。



 表向き養子という名の丁稚奉公として連れられたエラだが、纏足にて真面な仕事が出来る訳でもなく、引き取った家では役立たずとしてイジメを受けることしかありませんでした。


 エラを引き取った家は西国のめかけであり、男児でも生めば跡取り候補、晴れて貴族に仲間入りとなるはずだった。しかし生まれてきた子は二人ともが女児で、君主にも飽きられ国の最端で暮らしている一家でした。

 といっても一度は目をかけた者としての温情にて、最低限の生活は保障されこの家族が過酷な農作や年貢を納めるようなことは無い。しかしこの一家の長である義理母となる者は、それでは納得しない野望を秘めたまま虎視眈々と富裕層への道を狙っていたのです。


 エラは纏足により炊事や暖炉周辺を任せられ、いつも薪の灰に全身塗れていた。なのでそこからいつも

灰かぶりのエラシンダー・エラ

 と呼ばれ卑下されていました。


「シンデエラ、食事はまだなの?全く、トロいんだから。なんであんたなんかわなきゃならないんだか」


「ふふふ、お母様、でもシンデエラの料理はなかなかの腕前よ」


「そうね。それだけしか能が無い、としか言えないけどね」


「「「オホホホホホ」」」


 エラはそれでも、行き場のない自分の運命を恨みの矛先として苦汁の日々を送ります。

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