第4話 魔力測定しました。1000!?
魔力測定を終え、そこに表示された数値は「1000」。
歴代最高と言われたサンローランと同じ値だ。
や……、やばい!?聖女って勇者とかその一行とかよりランク下だと思っていた!同等だったのか!?
お父さんにこれを見られたら……!?
「お……お父さん……?」
遅かったぁ!!めっちゃ見てる!水晶めっちゃ覗き込んでる!
「サ、サーシャ……。お前……。」
ああああ、引いてるぅ!!
「こ、これって黙っておくこともできるの?」
とりあえず、冷や汗をダラダラ流しながら父に確認する。
「……いや、すまんな。ギルドに所属する者の家族は魔力総量を報告する義務があるんだ……。こればっかりは……、ごめん。」
うう……退路は断たれたか。
「これって絶対に面倒なことになるよね?」
私はあまりの衝撃に5歳ということも忘れて、色々確認してしまった。
「だろうなぁ……。あれ?というか、サーシャ?そんなに流暢に話せたっけ?」
はっ!?やばい!?素が出ちゃった!?
「あはははー。サーシャはサーシャデスヨー。」
棒読みで誤魔化したが、まだ怪しまれている。
「……、まあ、女の子は成長が早いっていうしなぁ。お母さんといっぱい話して色々覚えたのか。」
ふぅ、なんとか突っ込まないでやり過ごせたー!!
「だが、この数値は……。」
そうだった。まだ問題は解決していない。どうしたものか……。
「どうしたらいいの……?」
私は何も知らない、どうしたらいいかわからない風を装って父に全てを託した。
「……仕方ない。報告はしなくてはいかんからなぁ。上の判断を仰ごう。」
お父さんも判断できない感じらしい。まあ、そうだろうな。史上最高の魔力量なんだもん。
「お願いします!」
そうして、今日のイベントは終わりを告げ、私は家へ帰ることに。父は報告をしなくてはいけないから、母が迎えにきてくれるらしい。報告ってどうなるんだろう。面倒なのは目に見えているな……。
――――――
母が迎えにきてくれて、家に着いた。おやつとお茶でブレイクタイムをしながら、母は私に魔力総量の話を聞いてきた。
「それで?魔力はどれくらいだった?結構良かったんじゃないの?」
素直に話していいものなのだろうか……。
でも、父が帰ってきたらきっと話をするだろう。だったら、私から話をしておいた方がいいだろう。あとあとなんで嘘ついたのとか言われても困るだけだし。
「1000だったよ!」
私はできる限り明るく、5歳児を演じて母に教えた。
「……ブッ!!」
母はなんともコミカルにお茶を吹き出した。あまりにも私が明るくとんでもないことを言うもんだから、驚いたようだ。まあ、そうだろう、史上最高と同じなんだから。しかも5歳で。でも、いつもは可愛くて明るくて優しい母のこんなコミカルな場面を見られるなんて、ある意味良かったかも。そんな母は、吹き出したお茶を拭いている。
「……え!?どういう事、え!?まって、そんなことって!?え!?あれ?」
お茶を拭きながらもまだ納得できないのか、独り言であたふたしながらぶつぶつ言っている。驚きすぎだろう……。
「おかーさん、だいじょうぶ……?」
仕方ない、少し心配そうに声をかけてあげよう。
「え!?ああ、ごめんね!大丈夫よ!わかってないかもしれないけど、その魔力量はすっごいのよ!お母さん驚いちゃった!」
母は私がみていることを思い出したのか、我に返って、その状況を説明してくれた。母は私が事の重大性には気付いていないものだと思っている感じだ。都合はいいし、そのままにしておこう。
とは言っても、私もウカウカはしてはいられない。この魔力総量の件が知れたら、きっと平穏な日常は崩れるような気がする。これからの身の振り方を考えておかないと。
「そっかぁ!すごいんだね!!うれしい!?」
私はとりあえず、5歳児を活かして甘えた感じで誤魔化した。
「う、嬉しいよ!!でも、これからちょっと大変そうかもなぁ。お父さん帰ってきたら色々お話ししようね。」
私は両親と話をすることとなった。都合よく、この魔力のおかげで、私は5歳児だけど、頭がいい設定にしちゃおうかな。いままで、その歳相応の振る舞いをなんとかしてきたが、ちょっと疲れる。体の調子はすごくいいのだけど、良すぎてから回ってしまう。より自分の体に慣れていかなくちゃ。
――――――
夜。父が仕事から帰ってきた。
「おかえりーー!!」
私は父を迎えにいった。帰ってきたばかりの父は少し難しい顔をしていたが、私の迎えに気付いて笑顔でただいまと言ってくれた。
「ただいまー。ドタバタだったぞー。」
父は今日の仕事の感想を手短に愚痴った。まあ、そうだろうよ。
「はやく!はやく!ごはんたべよう!?」
うちでは基本的に家族みんなでご飯を食べることにしている。だから、父が帰ってくるのを待っていたのだ。それ以外にも話をしたいというのもあるし、父からも話があるだろう。
父の帰りはいつもそこまで遅くない。だからこそ、帰ってきてからの時間も多くとれて家族団欒を楽しめる。
ただ今日はいつもと違った。リビングに父を引き連れて行くと、
「お帰りなさい!もう、ご飯できるよ。」
と、母が挨拶した。
「ただいま。ご飯の前に少し話があるんだけどいいか……?」
父は私と母に話があると申し出た。きっと重要なことなのだろう。まあ、私の魔力の話だと思うけど。
「サーシャの魔力量は聞いたか?」
父は母に話を始めた。母は夕飯の準備も配膳までとなっていたため、料理を運びながら答える。
「ええ、聞いたわ。すごいことになったわね。」
母はいまだに信じられないかの如く回答した。
「そう。それで、こっちも大変なことになった。」
私の介入がないところで話は進んでいく……。
「どうしたの?」
母はその大変なことが気になって聞いた。
「……王と謁見することになった……。」
……!?!?
コミュ障の私が異世界に聖女として転生したから、こちらの世界では輝かしい人生を送りたい! 太星TAISEI @taisei-sato-1004
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