第4話 ダンジョン崩壊に巻き込まれて
「あー、死ぬかと思ったぜ。」
彼は、瓦礫の中から、何とか這い出ることができた。体中が打ち身が痛かった。いや、バラバラになるくらいの激痛だった。
つい先ほど前まで、魔法鉱石、ブルー・ミスチル鉱石の、正確にはその掘り出した後の残りの岩石の運搬・運び出しの一日中、休みなしの労働を、怒鳴られ、罵られ、鞭で打たれながら続けていた、一年以上、2年だったかもしれない、時間の感覚がなくなっていた、"2年近くもよく死なないでいるな、この豚野郎が。"と言われたことを思い出したが、それがどのくらい前かも判然としなかった、ダンジョンに繋がる鉱山がダンジョンの崩壊に巻き込まれて、崩れたのである。
"あのブタ、屑、のろまと罵った女監督や俺の飯を横取りした仲間達は無事なのかな?これで解放されたとは思えないけど?"
立ち上がると、瓦礫の中から飛び出してきた少年に気が付いた。
少し気の弱そうな、まだ若い、というよりまだ少年の冒険者は、自分のチームに見捨てられ、ダンジョンの崩壊の中に蹴落とされ、巻き込まれたのであるということだった。
「それは大変でしたね。しかし、ひどいお仲間ですね、失礼ですが。」
「ええ、僕なりに荷物運びから雑用まで一生懸命頑張ってきたつもりなのですが。」
よくあるパターンだなと思いつつ、取り合えず彼と協力して外界に脱出を試みようと考えた。少年冒険者も同意したため、行動を共にすることになった。
「僕は、カピン・バラトと言います。パラトと呼んで下さい。あなたは?」
「う~ん。奴隷だったから・・・名前何か忘れた・・・、まあ、直耕・・・。」
「チョク・コウさんでいいですか?コウさんと呼んでいいですか?」
「ああ、こちらこそよろしく。」
「うわー!」
パラトが、トカゲに似た魔獣が多数襲ってきて危なくなっていた。
「うおー!」
と斧を振り回してコウが、何匹かを吹っ飛ばし、そいつらの注意を引いた。その隙にパラトが剣と火球で残りを倒す。斧は荷物運びとしてパラトが持たされていたのを、借りたものだ。
「剣も魔法も大したものじゃないか?それでどうして、使い物にならないと邪険にされたんだ?」
「役に立とうと、認めてもらえられるようにと頑張ってきたんですか・・・。」
と彼が悲しそうな顔をすると、
「頑張る者には、慢心して他人を邪険にするやつには、それぞれの報いがそのうちあるものだよ。」
と慰めると、パラトは本当にうれしそうな顔をしたが、直ぐに、
「コウ。ひどい怪我じゃないですか?あれだけの魔獣を相手にしたから・・・。すぐに治療魔法で・・・え?効かない・・・どうして?」
「治療、回復魔法が効かないように・・・の、呪いをかけられているんだよ。」
「ひ、ひどい。誰が?」
「パラトは優しいね。でも、この程度大丈夫だよ。奴隷でいた頃は、日常茶判事の傷だから大丈夫さ、こんなもの。」
と言って彼は笑った。
「そんな・・・。確かに・・・。凄いよ。」
目を輝かすコウに、何か思いつくような気がしたコウだつたが、またまた魔獣達が現れて、そのままにしてしまった。
さらに、ダンジョンの奥に進むと、巨大な狼が待ち受けていた。
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