第4話 日常

父親に連れられてボストンの町並みを彼は歩いてた。博物館や公園をあらかた行き尽くした彼は町をとりとめもなく歩くという提案を父親にしたのだった。

MITの敷地の中を横切ったり、とりとめもなくメトロの駅に入ってみては歩いている人々を眺めていた。

そんなことがいくつか重なったある日、どこかで大声をあげているのが聞こえた。

彼は興味が湧いて父親に声がする方へ行こうと言った。

「.........women..................rights!]

というような声が聞こえてきた。何を言っているのか正直わからなかった。

遠目から見る限り女性しかいなかった。そこに違和感を感じた。と同時に恐怖も感じた。

父親が彼女らのそばを通り過ぎるときに一群の中の一人が攻撃的な態度で父親に何かを言っているらしいのが見えた。

父親がぎゅっと彼の手を前より強めに握って何かを言っている。彼の表情には少々焦燥のようなものが見えた気がした。

どうしようもなくいたたまれなくなった少年は泣いてしまった。父親がなだめようとしていると一群の中の別の女性が攻撃的な態度の女性を引き下がらせてどこかへいった。

このとき恐怖と腹が煮え来るような感じを彼は初めて覚えたのだった。

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