第3話 外にいる何か 回想
彼は不愉快な気分になったついでに自分の人生について振り返ることにした。
親の転勤でアメリカに住んでいた幼少期。そこは治安がいいと一般に言われていたが誘拐はいくつか起こっていた。だから両親はベビーシッターを雇い大学生のベビーシッターの女性と過ごすことが多かった。そこで読み聞かせをよく聞いていた彼女は文学部の人でシェイクスピアやフォークナーの小説を聞くことが多かったらしい。なんとなくソネットの息遣いのようなものを覚えている。
Sometime too hot the eye of heaven shines, -
And often is his gold complexion dimm’d; -
And every fair from fair some time declines, -
By chance, or nature’s changing course, untrimm’d; -
But thy eternal summer shall not fade
こいうようなことを聞かせていたらしい。
彼女はなにか焦っていたように見えたが、彼に読み聞かせをするときは落ち着いた様子で向き合ってくれていた。平和な時間だった。
両親も時間をとってくれた。なかでも父親はスミソニアン博物館に連れて行ってくれた。そこで様々な航空機を見て、その博物館にいる様々な人々に敬意のようなものを感じていた。
母親は同年代の子どもたちとの橋渡しのようなことをしてくれた。話が会うというより同じ空気を吸う訓練のようなものをしてくれた。私の家の他に人間がちゃんと住んでいるということをその時学んだ。
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