第2話 不通
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ninchishinkeikagaku/21/1/21_21/_pdf/-char/ja
この論文などを読みながらアプリで表示される人を眺めていた。
しばらくするとメッセージが飛んできた。そういえば漫画やアニメーションが好きだと言っていた。それでこちらにもどういう作品が好きなのか聞いてきたらしい。
彼は日本の漫画作品やフランスの漫画作品をいくつか答えた。
どれも知らないとアプリの女は言ってきた。ふと自分で調べる意欲とかこちらの好みを推察しようという努力をしないものかと思って腹の中になにか燃えるようなものを感じた。
「こいつらの頭の中どうなっているんだ?」
ふと彼はつぶやいた。自分で何かが好きだと言っているのに同じように好きな人間に積極的なアプローチをしようとはしないそこらへんに矛盾のような、噛み合わない感じがしていた。マッチングアプリというのはどういう意味なのか。
そもそもマッチングとは人と人をソフトウェアを通して組み合わせるものらしい。詳しい機構は知らないがなんらかのアルゴリズムがあるのだろう。
そもそも時間のサンクコストはどのようにしたらいいのだろうか?と彼はふと疑問に思った。時間は人生である。時間が失われるごとに人生の終わりに近づく。
他人のよくわからないコミュニケーションや不確実なもの、敬意がないアプローチで人生をすりつぶしていいのだろうか?
研究もすべてが結果が出るわけではない、今の状況では答えが出ないこともある。しかし人間が人間に会うというのはなぜここまで障壁があるのだろうか?ココらへんの疑問が彼の頭の中でぐるぐるしていた。
そこでマッチングアプリの情報商材のような記事を書いているwebサイトをAIに要約してもらうことにした。
曰く、顔写真が女性に好かれる、所得がある一定水準以上ここらへんが条件らしい。
顔写真ならいくらでも加工できるし、もとの人間ですら必要ない。生成モデルを使えばそれなりのものは作れる。所得ですら自分で努力すればなんとでもなる。
彼は思った。こいつらは人間の属性を判断しているように見せているだけで実際は判断していない。ふわふわした印象の羅列で判断しているふりをしている。
出来の悪いアルゴリズムのように見える。それでいて男は余っていると判断しているから傲慢な態度にもでる。彼女らはあくまで選ぶ側なのだそうだ。自分たちのバカさ加減は捨て置いて。そのバカさ加減で何ができるというのだろうか?
そこまで頭の中でぐるぐるしていると彼は料金を払ったことに後悔をし始めていた。
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