つま先立ちの事故から…

きいろいの

りんご飴のような…

 私は明野 梨沙といいます。皆さんは背が小さい私をどう思いますか?私はよくつま先で高くしなきゃ不便な事が多いです。


 「梨沙ーどこー?」

 「こっちだよー!」


 と友達と人混みの中見失った時につま先立ちをして手振って大声で叫びます。避けるのが大変な上に歩幅も大きくないからよく逸れてしまいます…正直恥ずかしい。


 他にもイベントの前が見えなかったり図書室の本が届かなかったり、黒板消しも1番上まで届かなかったりとつま先立ちををしないと本当に不便です。ジャンプする方法もありますが、某配管工の人じゃないから何度もすると疲れます…。


 でも、たまに良い事が起きます。

 夏休みに夏祭りがあった時の出来事です。クラスのみんなで夏祭りに行こうという事で男女含めて10人集まりました。その中には私の好きな人、竹内 純くんが来ていました。高身長でみんなに優しい好青年です。


 「みんなで屋台巡りするぞー!」

 「「「「おー!!」」」」


 みんな張り切っているなぁ、今日の浴衣は地味だけど、逸れないように頑張らなきゃ!と気合を入れましたが、みんなの行動力が早かったのか既に1人になっていました。


 「あ、置いてかれちゃう!待ってー!」


 早速やらかしてしまった…取り敢えず急いで私も屋台巡りしないと!


 みんなそれぞれの店にいて射的をしていたりたこ焼きを食べていたりわたあめを食べていたりと自由過ぎてました。


 「梨沙ーりんご飴食べよー!」


 と友達が私を呼ぶ声がする。人混みの中からではわからないのでいつものようにつま先立ちで声のする方向を探す。そしたら…


 どんっ!


 と他の通行人に当たってしまい前の通行人に当たらないようにその場で体勢を崩しました。両足の膝を手を打撲と擦り傷してしまいました。石で出来た道なので普通の道よりすごく痛かったです。


 「ごめん、先に食べといてー!」


 と大声で言って屋台の奥側にある木の下で1人座りました。

 やっぱりつま先立ちをしないといけない身長は辛いなぁ…せっかくの夏祭りを楽しめなくなったなぁ…。私は涙を流していました。誰も気付かれないまま早く終わってくれたら…。と血が出ている箇所にハンカチで押さえていました。


 「こんなところにいたのか、みんなお前のことを探してたぞ?」


 私の前に純くんが来ました。


「どうして泣いて…って怪我してるじゃないか!?大丈夫か!?」

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

「何謝ってんだよ。歩けそうか?」


 私は手足の痛さとどうせ逸れると思い首を横に振った。どうせ私が行っても楽しくなんか…。


「じゃあ、俺がおんぶしてやるからこっち来い」


 私は純くんの言葉に驚いてしまった。どうしてそこまでしてくれるかはわからない。けど、私は純くんの背中におんぶして貰うことになった。


 「何か食べたか?」

 「まだ…食べてないです…」

 「何が食べたい?」

 「りんご飴…です」

 「じゃあ買いに行くか!」


 私は純くんと一緒にりんご飴を買いに行きました。祭りの食べ物で1番大好きです。

 りんご飴を買い終わると大きな花火が打ち上がりました。いつもだったら高台まで全力で登ったりつま先立ちで見たりしましたが、今回は純くんにおんぶしながら見れました。中々ない光景ですし、大好きな人とこんなに近くにいられるなんて…来てよかったと思いました。





 ~後日~


「あんた大好きなたけうっちーとりんご飴買ってた時めっちゃ顔がりんご飴みたいに真っ赤になってたじゃん!」

「嘘!?見てたの?!」

「うちら以外のメンバーも見てたよー」

「恥ずかしいんだけど…」



 ~男子組~


「純、お前明野さんとどこまでいったの?」

「どこまでじゃねぇよ!おんぶしてあげただけだぞ」

「おいおい、顔が赤いぞー?」

「うるせー」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

つま先立ちの事故から… きいろいの @kiiroino

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画