第3話その男子高校生、大人になる

俺があの高校を自主退学して数年経つ。先輩だと認めてくれる一流の後輩を持ち、合気道を極め、哲学を極めて満足し、一人前の大学生になった。他人と遅れたが結果的によかったと思う。苦しい現実を目にすることもあった。それでも自分は能力が高いと自負していたし、統計を理解できるだけの思考力もあった。そう、たとえ最高学府に入れる頭脳を持っていたとしても更なる上がおり、同じレベルの人間が最低でも1000人に1人はいるのだ。知能指数が高いことが取り柄だと思っていたが、考え直そうと思った。それも一つの"大人になる"ということだと思ったし、統計を理解することの重要性を学んだ。俺はいつのまにか目標が変わっていた。そう、諦めがついたのだ。かつて師に、「凡人であれ」と言われた。究極の哲学だと思った。俺は凡人を目指し、統計を学ぶことを決意した。その結果適性があったのが、作家・配信者であった。俺は作家と配信者という天職を見つけられたことを誇りに思うし、その中で競っている程度の人生が相応しいことも理解した。恋愛経験はいまだなく、好きになった女子もいない。できることならばドイツ人と関わりたい。そう思っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る