閑話 夢
そう、これは夢の話。
政府軍に追われた私は建物の屋上に逃げていき、政府軍の兵士に背後から銃撃されて屋上から足を踏み外して地上に落ちていって死んだ。そう、これは夢の話。
私の死体は首都城陽の中心部にある公園に持っていかれて乱雑に投げ捨てられた。そう、これは夢の話。
私の死体に誰かがすがりつきすすり泣く。あいつだ。
「麗ちゃん、ごめん。次は助けるよ」
私を麗ちゃんと呼ぶのは宋兄だけ。
そう、これは夢の話。
私は屋上から足を踏み外して地面に叩きつけられ死んだ。私の死体にすがりつきすすり泣く男。あいつだ。
「麗ちゃん、ごめんね。次は頑張るから」
私を麗ちゃんと呼ぶのは宋兄だけ。
そう、これは夢の話。
私は思い出した。
昔、宋兄に運命の人と言われた私の王子様のことを。
なんで忘れてしまっていたんだろう。
私は屋上から足を踏み外して地面に叩きつけられ死んだ。私の死体を抱きすすり泣く男。周兄だ。私の王子様、泣かないで。
「麗ちゃん。次は絶対助けるよ」
そう、これは夢の話。
屋上から足を踏み外して地面に向かって落ちていく。地面に叩きつけられて死ぬんだね。
地面に叩きつけられる前に誰かに抱きとめられた。周兄だ。私の王子様だ。周兄の身体から白く優しい光が噴き出してきて私を包んでいく。私は助かったことを感じた。
「ごめん。嬢ちゃん。遅れて」
「そうだよ。周兄。次遅刻したらちゅう一回!!」
そう、これは現実の話。
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