第4話 平和な……。

 私は市内のバスに乗っていた。湖のある公園に向かっていた。絶対正義以外の唯一の趣味であるスケッチをする為である。


 最近のソシャゲーはタイムポイントがある事が多い。タイムポイントが切れるとメインの遊びが出来ない。今日は朝から絶対正義を始めて、タイムポイントが尽きたのである。


 家から三十分ほどで公園に着く。私は湖のほとりでベンチに座りスケッチを始める。鉛筆を走らせて風景が浮かび上がる。


 しかし、白黒の世界は寂しいものであった。私は色鉛筆を使うか迷った。


 色のある世界……。


 どうするか、長考していると。


「お嬢さん、綺麗に書けているね」


 おじいちゃんが声をかけてくる。この公園を散歩中らしく、子犬を連れていた。


「このスケッチに色を入れた方がいいですかね?」


 おじいちゃんは首を傾げて困った様子である。自分決めろと言うのかと解釈した。


「ありがとうございます、色を入れてみますね」


 おじいちゃんが去って行くと、私は青を手にしていた。


 青い空、青い湖、青い世界……。


 この世界に青が舞い降りた。


 うん?


 雲行きが怪しい。ここで雨に降られたら不幸である。とにかくバス停に向かおう。バス停に着くと曇り空は雨の降る様子が無くなった。


 スケッチの途中だが帰る事にした。軽い憂鬱である。


 不幸ではなく憂鬱が正しい表現であった。


 私が、朝、保健室に登校すると。真由美が水着姿でいる。寂しい胸元を白いビキニが包んでいた。それでもそれなりの色気はあった。


「今日は絶対正義の水着イベントだよ」


 なるほど、サブカルチャーに有りがちな水着イベントか。真由美が何故、水着かと考えるのは止そう。私も絶対正義にインすると。


 ホントだ、水着イベントである。


 私は不意に真由美を見ると赤のビキニを持っている。


「ワクワク……」


 だいたい伝わった、私に着ろ、言うのだ。仕方なく、私は保健室の奥で着替える。


 しかし、恥ずかしいなー。


 サイズもだいたいあっているし、この水着を何処で手入れたのであろう?


 ここで美亜が居ればいいのだが。死神になったとの言った日から見かけていない。


「あら、可愛い水着ね、先生も着ようかしら」


 何を言い出すのか、この保健室の先生は。不燃物としてゴミに出されてしまうぞ。


 空気をよんだのか保健の先生が寂しそうにしている。


「さて」


 真由美はブールハワイのジュースを片手に窓辺で日光浴を始める。絶対正義の水着イベントはしないのかよと思う。


 私は絶対正義の水着イベントをこなしていると。


 簡単にクリアしてしまう。この手のイベントはゲームバランスが難しい。


 水着イベントは簡単に設定か……。


 私も真由美の隣でまったりする事にした。


 私は独りで日曜日、ファミレスでパフェを食べた後のことである。


 真由美から着信がある。フロワーで話すのもなんだ。


 会計を済ませてファミレスの玄関で喋り出す。


『あ、今からそっちに向かうよ』


 相変わらずの会話である。私も諦めてファミレスのカウンターに相談する。

元に居た席に戻り。ライスとポテトを注文する。私はポテトをおかずにしてライスを食べる。


 結果的にパフェだけ頼んで食べて正解であった。


 数十分の暇な時間を過ごすと。真由美がやって来る。


『鬼殺しパフェ一つ』


 真由美はデザートで一番高い特盛のパフェを頼んだ。ほーっと、関心していると『鬼殺しパフェ』が届く。


 このタワーマンションの様なパフェを一人で食べるのか?私の疑問は確信に変わった。真由美はガツガツ食べ始めるのである。


「イヤー、パフェは良いね」


 これは食べても太らない体質だと思う。しかし、『鬼殺しパフェ』の後は何も食べない。


 訂正、好きな物だけ食べるから太らないである。


 真由美は私が食べている間に水、氷、水を繰り返す。


 すると、絶対正義を取り出して遊び始める。


 私は何となくチョコレートパフェを食べたくなった。お財布にもお腹の肉にも悪いであろうな……。


「絶対正義なら他でやろうよ」


 私の提案に近所の桜並木だけの公園に向かうことにした。


 公園に着くとベンチに座る。ホント、桜並木だけである。この公園に来た理由?


 チョコレートパフェを我慢するだけであった。

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