第7話:新たな敵の影
感謝祭の成功から数日後、篠田商店は以前にも増して活気を取り戻していた。イベントで得た評判が口コミで広がり、店内は常に賑わっている。だが、誠は手放しで喜ぶわけにはいかなかった。
「これでギルド側が黙っているはずがないな……。」
誠はライバルのベルモンドが次の手を打ってくるだろうと警戒していた。そしてその予感は、すぐに現実のものとなった。
ある朝、誠が店を開けると、入口に見慣れない大きな看板が設置されていた。それには、目を疑うような言葉が書かれていた。
「篠田商店の商品に健康被害の可能性あり」
「なんだ、これ……!」
誠は驚きと怒りで看板を叩きつけようとしたが、冷静さを取り戻し、その場で看板を調べた。設置主の名前は明記されていないが、文面から明らかにギルド側の仕業だとわかった。
「またあいつらの嫌がらせか……。」
その日のうちに、誠は町役場に足を運び、看板の撤去を求めた。しかし役人たちは腰が重く、手続きに時間がかかると言うばかりだった。
「篠田商店の味方は、誰もいないのか……?」
一瞬、そんな不安がよぎったが、誠はすぐに頭を振って気持ちを切り替えた。
その夜、誠は信頼できる仲間たちと緊急の作戦会議を開いた。ミルリ村の老夫婦、地元の冒険者、そして感謝祭で協力してくれた職人たちも集まり、篠田商店を守る方法について話し合った。
「ベルモンドは、篠田商店が注目されるほど妨害を激化させてくるだろう。」
冒険者の一人が警告するように言った。
「確かに看板は目に余るが、それだけではなく、次はもっと直接的な行動を起こしてくるかもしれない。」
「だったら、こちらも対抗策を講じる必要があるな。」
誠は腕を組みながら深く考えた。そしてひらめいた。
「町の人々に直接話をしよう。これまでの実績を伝えて、信頼を取り戻すんだ。」
誠の提案に、全員が頷いた。
翌日、誠は店の前に立ち、町の人々に語りかけた。
「皆さん、篠田商店の商品が健康に悪影響を及ぼすという噂が広まっていますが、それは事実無根です!私たちは、ミルリ村から毎朝新鮮な野菜を仕入れ、安全に販売しています。ぜひ、実際に商品を手に取って確かめてください!」
その言葉に、店に足を運んだ人々が次々と応援の声を上げた。
「篠田商店の野菜は本当に美味しいし、いつも新鮮よ!」
「僕たちは篠田さんを信じてるから!」
町の人々の支えに、誠は胸が熱くなった。だがその一方で、ベルモンドの影が再び忍び寄っていることに気づいていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます