第5話
「ダストタウンって呼ばれてるんだね、そっちでは。」
鈴を鳴らすような柔らかい声でそう呟くメラ。
「ごめん、気悪くした?」
「全然。呼び方なんか、どうでもいい」
それよりあなた、とまだ血が止まっていない俺の右腕に手を伸ばしてくる。
「怪我してるよ、どうしたの」
「多分瓦礫で引っ掻いた。」
「瓦礫?」
「そう。俺の住んでる地区、昨日から爆撃にあってるから」
俺の言葉に複雑な表情を浮かべたメラは、何を思ったのか、突然身につけている灰色のドレスを破き始めた。
意味不明な顔で彼女の手元を見つめていると、
「包帯代わりになるといいけど」
そう言いながら白くて細い手で、丁寧に傷口に布を巻いてくれる。
「…早く終わるといいね」
恐らく戦争の事だろう。
憂いを浮かべながらそう呟く彼女の横顔に鼓動が早まったのは、気のせいじゃないと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます