第4話

「こんにちは」



透き通った、だけどはっきりと耳に届く声でその少女は俺に話しかけてきた。




笑いかけられることもなく、ただ真っ直ぐに放たれたその声に誘われ、俺も2メートルはある幹の傍へと向かった。





「こん、にちは。君は…?」


近くで見た少女の瞳は、彼女の住む世界と同じ淡いグレーで。



辿々しくもそう尋ねた俺に彼女は短い言葉を

返す。




「メラ。暗い髪って意味なの。」

 


「…へえ。それで、メラは…、ダストタウンから来たの?」



「そう。」



大したことじゃないという風にメラは答えるけど、俺にとっては大問題だ。



ダストタウンは光を失った街で、闇の粒に触れた人々は、数百年前に全員死んでしまったと聞かされていた。



そんな、死の街から生きている女の子が出てくるなんて…

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