魅惑スキルは正しく使ったつもりだったけど
確門潜竜
序章
第1話 謙遜の美徳も過ぎれば非礼
「マックス。人は僕を勇者と言うけれど、僕にとっては君こそ勇者だよ。君の助けなしには、僕はなにも出来なかったし、世界を救えなかった。」
精悍というよりは、甘い、可愛いという顔の、そして、善人オーラが全身からあふれ出ている勇者アルバートに、賢者、戦う賢者とも言われることもあるが、マックスは苦笑いしながら、
「パーティーのみんなと同じですよ。」
と答えると、
「あなたと比べようないわよ。それに、私達はあなたのお蔭で、勇者様と結ばれんだもの。あなたは、恋の女神様・・・じゃなくて恋の男神様よ。」
金髪で、野性的だが可愛くセクシーな褐色の肌のヴェラが割って入ると、何人かの女性達が、力強く頷いた。ヴェラ達を見て、"俺のドンピシャ好みなんだよな~。"と思う心をなんとか抑えるマックスだった。
「そうですよ。謙遜の美徳も過ぎれば非礼になりますよ。勇者様は、確かに素晴らしい人で、偉業を達成しましたけれど、あなたもそれに準じた方ですよ。」
「そうよ。私達は、あなたのことを誇りに思っているわ。」
「全くその通りよ。」
と勢い込んで言う自分の妻達を、皆女性としては長身だった、"美人なんだけど・・・美人なんだよな・・・・好みとは少しずれているんだよな・・・。"やはり心の中でため息をつきながら、
「お前達にそう言ってもらえると嬉しいよ。」
とにっこりと、さも嬉しい、愛しているよ、マイ・ハニーという顔、表情、そしてオーラを出しまくるマックス。
「世界を救うために、君の助力がいるんだ。どうか、協力してくれないか?」
と勇者の善人オーラに圧倒され、
「賢者様。お願いします。」
と勇者ハーレムに懇願されて、心の中では鼻の舌を伸ばしてしまい、
「私達も出来る限りのことをします。」
と妻達に追いつめられたマックスは、
「もちろんですよ。世界のため、世界を救うために、勇者様に協力しないものがいるでしょうか?」
と言ってしまうのだった。
「ありがとう。そう言ってくれると信じていたよ。」
と両手を両手で握られ、"嫌だよ~。誰か代わってくれ~。"と心の中で泣き叫び、あくまでもにっこり微笑むマックスだった。"どうしてこうなったんだよ~。"
そして、時間は5年以上前に遡る。全ては、ある意味、そこから始まったのだ。
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