第4話 キララ覚醒す

キララはいっぱしの女武芸者の風格を滲ませている。

しかし刀術家としての実践はまだ経験しておらぬ。果たしていかほどの腕前を見せてくれるのか、儂はワクワクしておる。

そうしているうちにキメラやら2つの頭を持つ犬っころケルベロスとか言ったな、そ奴らがキララの刀の錆になって消えていった。今のキララなら人間など一睨みしただけで殺せそうだ。

そしてとうとう階層主と思われる敵が現れた。

目が真っ赤で青白い顔色、人間みたいなのに牙がある。背中には黒い翼が生えている。魔人だ。


恐ろしいほどに膨大な、悪意に満ちた魔力を垂れ流している。

こ奴は闇魔法を使うようじゃな。儂は念の為に魔法耐性の結界を3重に張っておいた。その際キララに、儂の能力を直接伝えるためにキララの胸の谷間に入りたいと伝えて了解を得た。

言っておくが不真面目な気持ちからではないぞあくまでもキララを守るために必要じゃからじゃ。

重ねて言おう決してよこしまな気持ちなどこれっぽっちも無いぞ。

凄いキララの香しい清純な魔力が直接儂に流れてきて儂の力が何倍にも増大していく。


『凄い凄いよジジちゃん。私の力がドンドン大きくなっていく。今なら魔王だって倒せそうよ!!』

『そうじゃろう。儂も同様じゃ。キララそなた、覚醒できたようじゃな』


そのことに魔人も気が付いたようじゃ。

「ムムム、こ、これは、魔王様に匹敵するほどの膨大な魔力。いや違うなこのいやらしいオーラは神の力【神力】か!このままには捨て置かれぬな、なんとしてもこの場で始末せねば!!!」


魔人は最強の闇魔法の【ブラックホール】を発動した。黒い渦を巻く空間が迫ってくる。

『ジジちゃん【ホワイトホール】で対抗できるかな?助けてくれる?』

『勿論じゃキララなら出来るぞ、自信を持って戦うのじゃ』


『うん、判った。【ホワイトホール】!!!』


するとどうだろう、迫り来る【ブラックホール】を包み込んでドンドン白く変えていく。これは邪悪な心根を浄化しているのか⁉魔人の顔色もほんのり赤みを増していく。目の色も赤みが消えていく。

それどころか姿が透き通っていくではないか。

そしてとうとう完全に消え去った。粉々に砕かれた魔石を残して

儂はキララに【収納空間】スキルを譲渡してこの階層で倒した魔物のドロップ品を渡しておいた。

階層主を倒したのでダンジョンの入り口に転移出来る魔道具も入手できた。ダンジョンから出たらギルドに行ってドロップ品を換金して、あのくそ女どもを断罪せねばならぬのだ。


「キララ、ダンジョンから出ようではないか!」

「うん。ジジちゃん」




続く

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