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生まれて初めて俺が本気で好きになった女の子がレイプされた日が俺が16さいの時だった。あれからずっと、その子を未然に守れなかった俺は死ぬべきだと思ってたけど、28歳の今もその気持ちが一ミリも変わらない。俺の中で、あの出来事が及ぼした影響が、人格形成において本当にでかいと思う。もう28さいだから自己責任だけど。でも悲しいもんはやっぱり永遠に悲しい。
いまでも、その女の子の発した、なにげない言葉の一つ一つの全部が頭から消えてくれない。むしろ、時間が経てばたつほど、思い出が美しくなってしまう。その子が今現在生きてるのか死んでるのかも知ることができないのに。
にこにこ動画が大好きな子だった。
歌うのが好きだった、絵をかくのが好きだった。笑うのが好きだった。
「わたし、自分の腕をガスバーナーで焼いてるんだー」とか聞いても、どうでもよかった。ただ一緒にしゃべってて楽しかったから。
俺もそうだが、彼女はもちろん高校ではいつも独りぼっちだった。体育のペアを作るときにいつも彼女一人だけ余っていた。教室では、小さな蜘蛛だけが仲間だった。いつも出来のいい兄と勉強の成績を親から比較されて育っていた。親から愛されたかったのに、「なんでお前はこんなに馬鹿なんだよ」って言われて、親からずっと怒られていた。
そんな中、「●●君だけが私の心の支えだよ!」といつも言ってくれた。
ずっと二人でいたいと思って俺から初めて女子に告白した。そしたら彼女はオーケーしてくれた。死ぬほどうれしかった。俺は泣いて喜んだ。妹にも笑いながら伝えた。「俺ついに彼女出来るわ」みたいな感じで。
だけど、それから少し経ったとき、彼女が、全く知らない男から性的に乱暴された。
それで、俺の初恋は終わった。
◆
まあ、それだけの話。
それが理由で10年も鬱になっていた。
28さいになって、やっとメンヘラが治ったかなと思ったけど、全くよくなってなかった。
てか。むしろ悪くなってるかも。
何を、誰を、信じたらいいのか、今なにもわからない
a Unknown @ots16g
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