第29話
「何処行ったんだルビナス……!無事でいてくれ!」
僕は刺身屋さんに強盗が襲来し、ルビナスが戦闘をして以来、彼女の姿を一切見ていない。あれから2日は経っている。心配になってヤルタ村全域を捜索したが何処に行っても見つからない状態だ。
「ナーシャ村にも居ません!」
「……そうか」
僕の責任だ……。ルビナスがいくら僕にチートを与えた女神だからといって過信しすぎた僕が間違いだった。もしかしたら本人の力は少女に毛が生えた程度で魔法もちょっと使える位だったのかも……。そう後悔に苛まれ、土砂降りの雨の中、村中をアナスタシアと共に走る。
――――――――――――――――――――――――――――――――
あれから数日後、村の皆にもビラを配り、必死に探したがやはり見つからない。強盗たち……。彼女をこんな目に合わせておいて許せない!絶対に見つけ出してぶっ殺してやる!その為に今日中にヤルタ村から飛び出す準備をする決意をした。
「よし!絶対にルビナスを見つけてやる!」
「おー!頑張りましょうね!」
そうして旅に出ようとした矢先に面倒事が起こった。村全体の家や屋台が黒炎で突如炎上し始めたのである。そして同時に村の皆の悲鳴が響き渡り、各地に上下真っ二つにされた死骸が散乱する事態となった。
「……ふざけやがって!速攻で終わらしてやる!」
僕は一向にも早くルビナスを助ける目的の焦りからアナスタシアを置いて、彼女の話に聞く耳を持たず飛び出した。そしてたどり着いたのはある魔物一匹の所であった。
「お前こんな事してただで済むと思っているのか!今直ぐ消してやる!」
「何だぁ貴様は!」
敵がこちらに気づき、まだ迎撃態勢が取れていない間に僕はアルカニックブレイカーを繰り出そうとした。
「消えろ――!」
だが……効果は無かった。全く無傷で敵は立っていた。
「……ははっ!何があるかにっくぶれいかーだ!いくつだよお前……!その魔法はミニファイヤだよ!」
……ミニファイヤだと?確かにアルカニックブレイカーの詠唱だった。何が起こった?
「それに貴様……レベル10とか舐めているのか?吾輩はレベル150……身の程知らずにも程がある」
……まさか!チートが一切使えなくなって、レベルも元に戻ってる!?
「……嘘だ!そんな筈はない!アルカニックブレイカー!アルカニックブレイカー!アルカニック――」
「うるさい!」
アルカニックブレイカーを必死に放とうとしたが、一切意味を成さない。そのまま僕は家へと勢い良く叩きつけられる。
またあの何も持たない自分に戻って……戻って……死ぬとでも言うのか……!?そんなの嫌だ!頼む!誰でもいい!僕の力返してくれよ!
「僕の力が戻ればお前なんか……!ぶち殺す事ができるのに……!」
僕の言葉に魔物が反応し、呆れ笑いをした。
「妄想も此処まで行ったら傑作だな!よし……。貴様は吾輩を笑わせてくれたから逃がしてやる!」
なんとか命は助かった……!でも余りにも無様すぎる。僕は自分の姿が余りにも情けなくて嗚咽を言いながら泣いた。しかし、悲劇はここからだった。
「……あ、そうだ!忘れ物をしているぞ!」
そう言い、魔物は僕の元へ何かを投げ付けた。それは上下に引き裂かれ、無残な姿になっていたアナスタシアの死骸であった。
「……アナスタシアァァァ!うわあああああ!!!」
この日を機に僕は何も持たざる者になってしまった。
パーティーから無能認定された僕、チート能力を手にしたので無双し1000人ハーレムを築いてこの世界の神になろうと思います〜今更戻ってこいと言われてももう遅い〜 @tetois
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