第26話 因縁

「ふぅ~極楽極楽♪やっぱりすっきりした後のお風呂は最高ですね〜ここは私が作った空間だから誰も気にしないで楽しめるし」 


 私は自分の空間に作った家の中で入浴していた。やっぱりお風呂ってリラックスする〜。身体ポカポカしてなんだか眠くなってきたなぁ……。


「うーん……ちょっと帰るの遅くなるけど寝ちゃおう……。お休み…………」


―――――――――――――――――――――――


「ふぁ〜……今何時だろ?」


 私は目覚めた後、お風呂場の外に掛けてある時計を見た。その瞬間驚愕した。


「え……まじですか……」


 指していた時刻は2時だった。恐らく最低でも12時間、もしかしたら翌日になっているかもしれない。これはアスタ様とか心配しているのでは?ああ……ルビナスのバカヤロ〜!


「とりあえず急いで着替えますか。さっさと支度してアスタ様の元に行かないと!」


 私は即座に浴槽から出て、タオルで身体全体を拭き洗濯していたお気に入りの白のワンピースを着る。

 血塗れだったから普通の洗濯で取れるか不安だったけど意外となんとかなって安心。同じの後3着あるけど取りに行くの面倒くさいし!


「よし!なんとか支度完了!では元に……あ。」


 元の場所に帰ろうとしたがここである事に気付いてしまった。死体がまだ残っている。個人的にパーソナルスペースにそれが残っているのはなんか気分的によろしくない……。


「うーん……どうしましょう?」


 私は処理に困ってしまった。せっかくならただポイだけで終わるのはもったいないしなぁ……。


「そうだ!どうせなら魚釣りでもしようっとー!」


 私はすぐさま死体を魔法で細かくサイコロ状にし、それを釣り竿に付けた。そして海に繋がる穴を作り出し、獲物が来るのを待つ。

 つっれるかな〜つっれるっかな〜!ウフフ……。


 暫くすると釣り竿に動きがあった。これは大物の予感!リールを直ぐに巻かなくては!

 暴れ出す獲物。激しく揺らめく水面。そして反動に押されながらも必死に釣り上げようとする私。獲物との戦闘は気が付いたら20分経っていた。そして遂に……!


「やったぁ!釣れたーー!」


 解析スキルによると釣れたのは偶然にもキングサーモントラウトだった。魚を台無しにした強盗が逆に魚に食べられちゃうなんて……ウフフッ……。

 とりあえず釣れた物を残りの餌とまとめて保存用の部屋に送った。また帰ってきたら楽しもっと♪


「では今度こそ帰りますよ〜!」


 私はワープ魔法を詠唱した。しかし……。


●詠唱魔法はキャンセルされました。


 え……?そんなまさか!だが幾らやってもキャンセル判定となってしまう。そして……


●召喚魔法に貴方が選ばれました。転送します!


 今度は私がどこかに送られてしまった。一応女神である私の魔法を妨害し、尚且つ転送されるなんて!こんな事を出来るのは――


―――――――――――――――――――――――

 フィールド???


「分かっていますよ〜!早く姿を見せて下さい!」


 その声に反応して玉座に座った見覚えのある男が動き出す。頭部の左右に大きな角を携え、漆黒の服に覆われ、大剣を持つ男。あのスカした表情をした顔。間違いない。


「よう……。1500年ぶりだな。元気だったか?」


 

 

 


 

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