第25話 刻まれた協奏曲
ルビナスside
フフッ……とりあえず後1人までには減らせましたね!すっきりすっきり♪ただこのまま惨殺だけではちょっと私の気持ちもモヤモヤしますね……。だからこれを持ってきたんですけど♪
「く、来るな!来るなぁぁぁぁ!」
最後に残った1人が涙を流し必死に走りながら、所持している物を私に投げつけてくる。余りにもその姿が惨めで……情けなくて……それが本当に面白くて堪らない。だから私は歩く。ゆっくりと。ゆっくりと。
……30分位経っただろうか。やがて持っている物が何も無くなった彼は更に逃げ足が早くなる。しかし走っている間に転んでしまった。そんな様子の彼に私は投げつけてきたナイフを足に向けて投擲する。
「痛いィィィィ――!」
そのナイフは足先にヒットし、当然ながら痛みに悶え苦しむ。その間に私は追いついた。
「ハッハッ……もう分かった。分かったから……。だから止めてくれ!これ以上やらないで!」
その問いにはわざと返答しなかった。ただ微笑を浮かべるだけだ。
「な……何とか言いやがれ!何で何も言わない……。頼む……お願いだから……」
「そーいえば♪これ知ってます?」
私は持っている得物を見せる。これ結構レア物だから自慢したいな。
「し、知らない……」
「まあ当然ですよね。この世界に無いものですから!そうそう!これ実はオルゴールが鳴るんですよ!聞いてみたいですか?」
「え……?」
まあそんな態度を取るとは思ってました。
「もう一回言いますね?聞いてみたい?はいかいいえでどーぞ♪」
「じゃあ……聞きます」
「わっかりました――!」
私はチェンソーのエンジンを稼働させ、オルゴールが鳴る様にする為のボタンを押す。
チュイーン…… ドゥルルッ……
「どういう事だ……?まさか……それ以上近づくな!」
「だって聞きたいって言ったじゃないですか――!せっかくなんで2人で鑑賞しましょ!ちなみに曲名はカノンっていうんですけどとっても良い曲ですよ!」
容赦なくナイフが刺さっていない右足の太腿辺りを切断し、その瞬間からプレリュードは始まる。彼の煩い悲鳴と稼働音、そしてそれらとは対象的に静かなオルゴール。その3つによるコンチェルト。そして彼の身体に傷が刻まれる度にオルゴールの速度と絶叫は比例して加速していく。クレッシェンドの如く。
「あああああ――!!」
案外ミスマッチじゃないかなと最初は考えていましたけどもこの新鮮さが結構良いんですよ!もしも同じ趣向の人がいたら語り合いたいなぁ。
私は馬乗りになって彼をそのまま切り裂きながら気分よく奏でられた音楽を聞いていた。しかし気が付いた頃になると協奏曲はフィナーレを迎えてしまった。命が潰えてしまいもうオルゴールは鳴らなくなってしまった。
「あ……終わりかぁ……。まあ結構な癒しタイムになりましたね!さてさて……明日のステーキ楽しみにしておこっと!」
強盗さん♪これが貴方達に授けるレクイエムです♪
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