3 ―転―

この時の国語のテストは、あらかじめ覚悟をしていたけれど、案の定散散だった。


当時のぼくは、テスト勉強というものをあまりやらなかった。テストというのは、ふだんの自分の能力を試すものであって、テスト前の付け焼き刃で一時的に能力を上げていい点を取ったって仕方ないという、たぶん間違った信念を持っていた。


でも、そうは言っても見栄というものもあれば小心者でもあるので、テスト勉強を「あまりやらない」のだけれど、かといって「まったくやらない」わけでもなくて、中二当時、たいていいつも中途半端な勉強で中途半端な点数を取っていた。


国語のテストといえば、とりあえず出ると分かっている漢字だとか、文法事項とか、古語の単語の意味だとか、そういうものくらいはいつも多少は勉強してから臨んでいたのだけれど、この時は国語のテストの勉強だけは一切やらなかった。


それで国語のテスト中、あまりにも出来なさ過ぎて、途中からだいぶめげていた。さすがに五十点も取れないということはなさそうだったけれど、いっそこの際、取ったことがないくらいの低い点数を叩き出してやろうかな、なんていう考えが頭をもたげた。


それで最後の文章で答える問題の回答に、半ば問いを無視したような、かなり好き勝手な文章を書いた。どんなことを書いたかよく覚えているけれど、あんまり恥ずかしいのでここに再現はしない。後日その答案が返ってきたのを見たら、先生はその回答に三角をくれていて「内容はいいけど、字数が多過ぎます」と書いてあった。


ところで、ぼくの父は、この頃もいまも国語の教師なのだ。





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