第4話

「馬鹿駿也!さっさと起きなさい!」

「⋯⋯」

「ほら、早く起きないと遅刻するわよ!」

「⋯⋯」

「スゥ⋯⋯駿也ァァァァァ!!!」

「⋯⋯うるさい」

「うるさいじゃなくて、早く起きないと本当に遅刻するわよ!」

「⋯ったく、うるさいなぁ。遅刻したくないならさっさと行け⋯よ?」

「何よ私の顔みて、まさかなにかついてる!?」


慌てながら顔を触ってる六華は放っておくが、動きを止めた理由は別にある。

昨日見た物が再び目の前へと現れていた。


ダンジョンを生成しますか?

Yes/No 残り20秒


「ちょっと!何もついてないのになんで私の顔みて驚いていたのよ!」


残り15秒


「もしかして、また六華かよとか思ってたの?」


残り10秒


「って、聞いてる?おーい」


残り5秒


「駿也!聞いてる?ねぇってば!」

「はっ!?ちょっ、待って」

「待ってってなにを?」

「作らな⎯⎯」


残り0秒


「⎯⎯嘘だろぉ!?」

「何が嘘なのよ!!⋯え?」



「は!?ここ何処だよ!?」


ダンジョンの名前を設定してください

《》


「嘘だろ、間に合わなかった。保留したこと忘れるとかいう馬鹿なミスするかよ、普通!?」


ダンジョンの名前を設定してください

《》


「なんだよ、ダンジョンの名前とかどうでもいいだろ。」


投げやりに目の前に出てきているキーボードを使い《ミス》と打つ


ダンジョンの名前が設定されました

《ミス》

ダンジョンランクF Lv1/5

モンスター 0/10 階層 1


「なんだよこれ」


俺が絶望しているとポケットに入れていたスマホが鳴る


「⋯⋯はい」

『お久しぶりです。唯川様』


電話の相手の声はどこか嬉しそうな声をしていた


「あんたか」

『はい。まずは、ダンジョン生成おめでとうございます』

「作りたくて作ったわけじゃないんですよ」

『これより⋯⋯え?』

「だから、作りたくて作ったわけじゃないんですよ」

『ですが、ダンジョンが生成されているということはYesを押したのですよね?』

「保留にしたままさっきまで忘れてたんですよ」

『⋯⋯⋯⋯左様ですか』

「これ、取り消しできないんすか?」

『唯川様には大変申し訳ないですが、取り消しは出来ません』

「てことは、俺ここから出れないんすね」

『ですが、特別に唯川様にはあることを教えて差し上げます』

「あることってなんですか?」

『ダンジョンマスターの殆どの方がダンジョンの外には出れないと錯覚してますが、それは誤解です。ダンジョンマスターになってもダンジョン外へは行けます』

「へ?」

『そして、ダンジョンへは戻りたいと強く念じると即座に戻ることが可能です』

「外に出れるんですか?」

『はい』

「そうですか、教えて下さり、ありがとうございます」

『いえこちらも、もう少し時間のことを強く言っておけば良かったものを軽く忠告した形になってしまい、唯川様の意志に反しダンジョンマスターにしてしまい申し訳ございません』

「これに関しては俺が悪いので謝らないでください」

『では、唯川様が良いダンジョンを作れることを祈っております』

「ありがとうございます」


そこで、電話は切れた。


「はぁ、まじかよ」


俺は生成されたダンジョンを見て本当にダンジョンマスターになったこと、そしてダンジョンが存在したことを理解した。

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