第5話 誇らしげ

いや、、、ダメだな、こんなとこでは死ねない、、まだ、思い残したことがある。


コツコツと昴に近づいてくる。体は硬直して言うことを聞かない。

「ねぇ、なんで逃げないの?お前も兄ちゃんと同じで出来損ないなの?」

怖い、鳥肌が立つ。


ロズワールが手を振り下ろす。

すると、目の前で赤い髪がなびいた。


「まだ死ねねぇんだよ俺はよ!」

ラインハルトだ。でも普段のラインハルトとは違い口調が変わっている。

まるで別人だ。

「なんで息を吹き返したの?意味無いのに、どうせ殺されるのに。」

ラインハルトは目を光らせる。

「意味ないわけないだろ」

「じゃあ兄ちゃんは僕を殺せるの?」

「殺せない、殺せないとわかっていても前に立つ。」

「無意味なことをするもんだね、何がしたい?」

そうすると、ラインハルトは聞きなれない名を呼んだ。

「ロズ、俺はお前を認めたかった。」

そうするとロズワールは頭を抱えて叫んだ。

「ぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!黙れ!!!その名を呼ぶなぁぁぁぁ!!」

激昂したロズワールはその場に倒れ込んだ。


ー4年前ー


ラインハルトは廊下の部屋の扉の前にしゃがんで座り込んでいた。

「ロズ、どうしたら出てきてくれるんだよ、」

部屋の中にいたのはストレスで痩せ細くなり不登校が原因で髪を白くしたロズワールがベッドに倒れ込んでいた。

「何度も言ったはずだ、俺は出ない、ご飯も食べまずに野垂れ死ぬんだ。」

ロズワールは目を手で塞ぎ涙を流した。

「なんで出てこないんだ、何をしたら出てきてくれる?」

その途端に立ち上がり、声を荒らげた。

「お前だよ!全部お前だ!俺の全てを奪ったんだ!!」

机の上にあったツーショットの額縁に飾られてあった写真立てを床にたたきつけ、ガラスが割れた。

「頭も良くて顔も良くて運動神経もいい!!そのせいで俺はお前と比べられてんだよ!!!」

扉に歩いて近づく、床に散らばる割れたガラスを踏み足からは血が出る。

「なんでお前だけが恵まれてんだよ!!分けてくれよ!!1つくらいよ!」

「ごめんだがどうすることも出来ないんだ、俺が望んで手に入れたものじゃないから」

ロズワールはさらに扉をけってラインハルトの背中には衝撃が走る。

「黙れよ、そこまで才能があるなら見下せよ!!!お前はなんでも出来るんだよ!!!」


そこから、俺らは会話をしなかった。


「思い出したよ、ロズ、謝っても許されないだろ、殺せよ」

ラインハルトはその場に体を差し出した。

「元からそのつもりだ」

ロズワールは警戒せずに近づく、

するとラインハルトは走り出す。

「もう油断はしない」

ラインハルトはロズワールの体に切りかかる、ロズワールは間一髪避けるが、ラインハルトは体をひねり足をかける。

体の重心がぶれ、転びかけたところを上から顔面に拳を振り下ろす。

「っっ、っざけんな」

ロズワールは虫の居所が悪いことを知らせるかのようにオーラを強くし、手を変形させ血で纏まった1つの触手を全方向に振り回し、斬撃を繰り出す。

「さっきまでの威勢はどこいったのかな」

ラインハルトは件を投げ捨て、拳で殴りかかる

「舐められたもんだなぁ!!ふざけんなよ!!」

ロズワールも触手を戻し、拳で近づく。

お互いの拳がぶつかった時、周りの火を纏った木片や木屑が飛び散り砂埃がまう。

「何が起こった!?」

状況が判断できない昴はその場を静かに蚊帳の外から見ているだけだった。

砂埃が薄くなり、姿が見えてくると

「、、!!??、、ラインハルト!!!」

ラインハルトが頭の端から血を流し、地面にしゃがみこんでいる。

「どうしたよ、ラインハルトさんよ!!」

すると口から赤い液体が飛び出し、肩を撃ち抜く、

「!?!?なんだ!?それは!」

ラインハルトは驚愕し声を荒らげる。

「さっきから喋ってる時にわざと口を噛んで血を出してたんだぞ?気づかなかったか?」

すると次は手を顔の前に出して爪を飛ばす。

「自分を傷つけることをして攻撃する!!!?」

ロズワールは無視を選んだ。

「爪はいいぞ、爪を飛ばして攻撃して、その後の血を使ってさらに斬撃が出せる。」

ロズワールは斬撃を出し、ラインハルトの身体をマシンガンのように蜂の巣状態にした。

「情けな、しょうもない戦いで時間の無駄でしかなかったわ、認めるとかほざいてたけど、ただ殺しに来て返り討ち食らっただけのダセェ姿見せてきただけだろ、何がしたいんだよ。

「殺せよ」

ラインハルトはまたもや体を差し出した。

「次は反逆をさせないぞ」

ロズワールは迷わず触手を飛ばした。


ラインハルトは思い出したのだ、過去を、自分の愚かさを

1つのロズワールの言葉を思い出した。

「誇らしいって言ってよ、、、、認めてよ、、、」

泣きながら胸に飛び込んできた子供の頃のロズワールを、


「ロズ、、俺誇らしいよ。」


ラインハルトはそう言って肉片となった。

もう回復はしない、


「次こそ本当に殺した。僅かな生気すらも感じとれない。」


改めて

ラインハルト・ティー・ブレイブバード 死亡


「今の俺は機嫌が悪い。お前は見逃してやろう。だが、」

その直後、地面にあった石を蹴り上げた。

俺の片足は吹き飛び、歩けなくなった。


「それで勘弁してやろう、兄弟喧嘩は終わり、次はお前らだ。」


ロズワールはそう言って煙に紛れ姿を消した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

荒廃した都市では明らか俺が最強らしい 武河原 黒露樹 @otakubros85

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る