第4話 出来損ない対バグ
「ありがとう、雄也」
俺の瞳からは涙がこぼれた。
なんでだかな、敵なのに、嫌いなはずなのに、なんで、、
「昴?大丈夫かい?」
ラインハルトが心配そうに肩に手をかける。
俺は涙を拭って「大丈夫だ。なんだかスッキリしたよ!」
「それは良かった。」
こんな他愛のない話が出来るのも、幸せなことなのだなと実感した。
「ところで、その雄也くんに病をかけた「ヤジュー」はどこにいるんだ?」
「同じ四天王なのに知らねぇのかよ。」
ラインハルトはムッとした顔で頬をふくらませた。
「俺は北海道にずっといたんだ!本州のことなんて知るもんか!」
「まぁまぁ怒んなって悪かった。」
俺がラインハルトを慰めているとどこからが足音が聞こえてきた。
コツ、、、コツ、、、コツ、、、コツ、、、
「なにか来てるね、」「あぁ、人だな。」
足音により人かどうかが判別できる。
もし化け物ならまず建物を突破ってくるし、体重が重くてドスンと音を立てて近づいてくるはずなんだ。
「人だけど、人じゃないな」
俺は謎に確信ができた。人型の化け物が近づいてきてると察知した。
「奇遇だな、殺意がなく近づいているように感じるが、俺の本能がそれを否定している。」
ラインハルトですら警戒をしている。いつも笑っている顔が今は引きつっている。
「なんだ??こいつは、」
目の前に現れたのは白いオーバーサイズのダッフルコートを来て同じくオーバーサイズの白いズボンを履いてパーカーを頭に深々と被っている。人の形をしているが、人ならざるもののオーラが感じ取れた。
「久しぶり、、ラインハルト兄ちゃん。」
ラインハルトの名を呼んだ。こいつはラインハルトを知っているということだ。
「残念だが、俺は君のことを知らない。教えてくれないか?」
ラインハルトは悪気を感じさせないように存在を尋ねた。だが、それが引き金になってしまったようだ。
「ぁぁぁ!!!お前もか!!!!お前も俺のことを忘れるのか!!!!異常者だとか、、この世のバグだとか罵ってきやがって!!!!このクズ野郎!!!!!!!」
突然大きな声を出したと思うと隠されていた殺意や怒りが湧き出てきて開放される。そのオーラだけで押しつぶされそうだ。
「どうだよ!四天王まで成り上がった「ラインハルト・ティー・ブレイブバード」さんよぉ!!!」
なぜ君のが俺の名を知っているか分からないが、殺意を隠しきれてないよ、隠れていたとしても見え見えだ。
その言葉はその途中で途切れた。
「はっ?!」
ラインハルトは腕を振り上げた、何事かと前を見るとラインハルトは振り上げた逆の腕が無くなっていた。
「くっ!!」「ラインハルト!!」
「兄ちゃん、、弱くなったね、、俺に一撃入れられるなんて、この「ロズワール・ティー・ブレイブバード」の事を!!」
ブレイブバード?こいつはラインハルトの弟ってことか?兄ちゃんと叫んでいたからそうとしか考えられないな。
「もうダメなんだよ!!お前みたいな出来損ないの兄が四天王なんて位に上がったのが気分悪すぎて!!!!」
叫ぶとパーカーが頭から外れ、顔があらわになった。
その顔は白くなり、左目の下には血管が浮きでていて血眼になっている。
「お前だったのか、、ロズワール。」
ラインハルトは顔を確認すると思い出したように名を呼んだ。
「うるさぁぁぁぁぁい!!!黙れぇぇぇぇ!!」
左腕から一つに纏まった血で固まった触手のようなものを勢いよく伸ばし、ラインハルトの腹を突きぬけた。
「くっっ、、はっっ!!」
ラインハルトは大きく血を吐き、地面に這い蹲る。
「最強さんよ!!!出来損ないのバグ野郎である俺に殺されるのか?????!!!!」
「いや、、今はお前の方が出来損ないか!!」
不気味に笑う、バカにしているよりは自分のやるべきことをなしとげた嬉しさから来る純粋な笑い声だ。
「じゃあね、、ラインハルト」
目が変わると思うと職種が勢いよく頭に振りかぶり、首を跳ねた。
ラインハルトなら避けるや防ぐことが出来たはずだ。なのにしなかった。お前も、、なにか思い残したことがあったのか??
12月17日8時10分 ラインハルト・ティー・ブレイブバード 死亡。
「次はお前だぞ?」
俺は人生で感じることが数少ないであろう、
本当の命の危険を感じた。
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