第3話 副総長

ラインハルトを傘下にくだらすことには成功したが、その反響は大きかった。

「小比類巻副総長の方がいいですって!」

「近藤隊長じゃなきゃ安心して行けないです!代わりはいるんですか?」

副総長と第1部隊隊長という信用の熱い人物が消え、第1部隊隊長は空白、副総長は信用の獲得できていない、獲得することの方が困難な人物「ラインハルト・ティー・ブレイブバード」になってしまったのだ。

「僕だとなにか不安があるのかな?」

ラインハルトが何も考えていなさそうな表情で首を傾げる。

「そうだよ(便乗)、副総長と第1部隊隊長を殺し、総長に大怪我まで負わせたお前を信用する方が無理あるわ!!」

「そうだそうだ!!」「なんだお前は!!」

君たちの部下は本当に汚いね


そんな言葉を吐かれたがそれに関して俺は口出しをしなかった。

だって俺だって思う。愚かな発言ばかり飛び交っている。

「よく聞けお前ら、」

昴が口を出す

「仲間の2人が死んだだけで何をそんなに腹を立てている、仲間が死んで隊長が入れ替わるなんてある事だ、今まで俺らが平和にのうのうと過ごしているせいで危機感にかけているんだ。」

「厳しいって、ヤバいってことになぜ気づかない?」

遠回しにバカにする発言、だが、それでいい。

向こうから向かってきえくれれば話が進むし楽なもんだ。

「総長、、確かにあなたが言っていることは正しい、でも!!なんでその失った仲間を殺したこいつを仲間に入れるんです!なんであなたの意見が正しい!あなたが正しい根拠を言え!!」

「そんなものは無い。」

俺は吐き捨てた。

「正しい根拠を言えって!言ってんだよ!!!」

声を張上げる、相当頭に血が上っているように感じられる。触れてもいないのにそいつの体は熱くなり、顔が赤くなっているように感じとれる。

「うるさい!!!俺が選んだ選択だ!!文句があるやつはいるか!!!」

大勢が目をギラつかせ、こちらを睨む。

「いるのかって聞いてるんだ!声を出せよ!!」

大勢の前で言うのと1体1で言うのは説得力の格が違うのだ。

大勢の前で言えば言うほど、別の考えのやつが周りの考えに飲み込まれ、それが正しいと錯覚する。

「抵抗してもよろしいでしょうか?」

「どう抵抗するん?言っとくけど手加減はしないぞ。」

「もちろん俺、いや、、俺たちは抵抗する。拳で。」

「なら、、全力で行かせてもらう。」

その後、赤い髪の男が俺の目の前に立った。ラインハルトだ。

「俺の話なのに俺抜きで話すなんて酷いじゃないか。」

怒っていない。こいつは怒らないんだ。なのに口は出す。不思議なやつだ。

こいつと戦うと戦う意思もなく殺意もないから植物と対峙してるみたいな感覚になる。

「はっ?!」

目の前の集団20人ほどが少し考え事をしている間に消えた。

「ど、、どこに?」

ラインハルトは振り返り優しい笑顔を見せた。

「昴に歯向かうなんて愚かなやつは、みんな消しといたよ!大丈夫!怪我はしてない!」

お前に怪我の心配なんて誰がするか、怪我しないって確信があるんだから。

「今から熱田大神を潰しに行こうよ!」

「決戦は25日だぞ、まだ早い」

「ここまで準備が整ったのに待ってるなんてバカだなー奇襲こそ最大の攻撃だよ?」

確かに言っていることは納得出来る。なぜ俺らは敵の言い草を飲んで礼儀良く決戦の日まで待っているのだ、相手が準備して油断している今が一番のウィークポイントじゃないか。

「二人で十分だ。今から行くか!」

「そう来なくっちゃ!」

俺らは強く蹴り、空中を飛ぶ。

「熱田大神のアジトってどこ?」

「京都府の元清水寺だ。突っ込めばすぐ崩壊する馬鹿な建築にアジトを作ったんだあいつらは」

「なら、俺が体を強化する。そのまま突っ込もう。そうしたらあとは乱闘だ。」

そうするともう京都府上空に来ていた。

「行くよ!!」

そうすると体を下に傾け、清水寺に突っ込む。建物はギシギシと音を立てて崩壊し、俺はいい機会だと思い火をつけた。

「なんだ貴様らは!!敵陣か?!」

熱田大神らしき奴らが2人でてきた

「そんなこと関係ないだろ、、胡桃ヶ丘雄也はどこにいる。」

「そんなことをお前らに教える義理は、、は?!」

隣にいた一人の男の顔をラインハルトが蹴り飛ばした。

「さぁ?早く。」

その男は泣きながら案内した。

「やぁ、久しいね、昴」

「今のお前はお前じゃない、久しいなんて思うか。」

「酷いなー、ちょっと離れたからって忘れるなんて」

話を聞いていないなこいつは。

「そこの赤髪くんはラインハルトくんかな?お会いできて光栄だよ。」

なぜこいつは直ぐにラインハルトだと特定出来た?こいつの力なのかもしれない。

「こちらからもお会いできて光栄です。早速なんですが、笑ってらっしゃいますがとてつもない殺意を感じられます。こちらから仕掛けても?」

「いいよ、来いよ。」

ラインハルトは首を飛ばした、胡桃ヶ丘雄也は死んだ。

「なんだったんだ、呆気なさすぎる。」

するとヌルッと白髪の女が隣に来た。

殺意はない、警戒する必要は無いと判断したラインハルトは、話を聞いた。

「「俺が死んだらこれを読ませろ。」と伝言を承りました。こちらへ」

案内された場所に行くとそこには雄也の遺言らしき手紙が置いてあった。


「久しぶり!多分お前と話してる頃は俺が俺じゃなくなってると思う!病はゴミだね!ところで本題だ。俺は四国の王。「ヤジュー」を倒したいと思う。でも俺はその「ヤジュー」にかけられた病によって衰弱死しそうなんだ。地下にヤジュー対策の武器などを揃えておいた。使って俺の仇を取ってくれ。最後に、だいぶ前のことになるが、ほんとうに申し訳ないと思っている。お前に殺されると思って必死に抵抗したら、お前は手を差し伸べてくれているだけだった。でも俺は恐怖していたんだ。手を切り落として、片目を失明させて。ごめん。謝っても済まないこと、死んで詫びよう、本当に楽しい17年だったよ。」


なぜだか。涙が出てきたんだ。

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