ワガヤブファミリーあつまっちゃった!
「あにゅ〜……みこちゃん、そんなに謎解き出来ないよ……。ニッセン部の先輩達もそろそろ帰りそうだし、今日は一旦パフェるか焼肉ろうよ……あれ?」
『
「なんで布団の中? アタシはいつもベッドで寝てるのにっ。なんか待って、服もいつものパジャマじゃない! 着物と
彼女は赤の半纏を上に、模様の無い黒の着物を下に着込んでいた。
「え! でも待って! した黒のスカートみたいなの履いてる〜! あにゅ〜チョー可愛い! なんか大正時代の着物みたい!」
「あ〜〜もううるさいのぉ〜。誰じゃ、アタシの眠りを妨げる不届き者は。ごっつ腹が立つのう……て、ん? なんじゃこれ。知らない着物じゃの」
そんなひかりの謎ハイテンションをよそに、純粋ローテンションな声を発する銀髪の人物。
1人だけだと思っていた空間に他人が居ると分かったひかりは、一瞬思考が停止してしまった。
だがそれも長くは続かない。昨日あった不思議な事を思い出せたからだ。
(教室に居た時に、丸くて白色の……顔の無い変な生き物が居たんだよね。すぐに居なくなったから、見間違いだと思ってたけど、もしかして?)
状況を把握したひかりは慌てながらも銀髪の女性に話し掛けた。
「あっ、あの! 大きな声を出してすみませんでしたっ。寝起きでこうやって話し掛けるのが失礼なのも分かってはいるのですが〜」
「ん……。いいじゃろう、迷える子羊の相談は『タイムループの神殿 紡屋』の神様であるこのアタシ、『ハピエル』の役目じゃからの」
ぱっつん前髪の下の大きな目を、眠そうにこすりながらひかりの話を聞くハピエルという名の女性。
「タイムループ……? 神様……? えっと……あっ、そういう感じの……?」
状況とキャラ説明に困惑しすぎて、何かのドッキリなのではないかと疑ってしまったひかり。
(というか、これ信じていいの? いや、信じるって何……? なんかこれ頭のおかしい人に出会ってるかドッキリじゃないと説明つかなくないwowwow……?)
「なんじゃその目は。アタシをえらい疑ってる顔じゃな」
若干ムスっとした不機嫌顔のハピエル。
「あっ! い、いいえっ! 全然!? 全然疑ってないですよというか、むしろウェルカムMAXピーポーあにゅーと言いますか! へへ!」
(やっばーーーー! 神様とか言ってるこの人よりも、アタシの方が怪しいじゃん! 何ウェルカムMAXピーポーあにゅーって! 日本語喋ろうよアタシ!)
「…………ぷっ。なんじゃそれウケるのぉ! はははっ!」
焦り顔と冷や汗で凄い変な顔になっていたひかりを見て、なんだかご満悦な様子のハピエル。
お腹を抱えて笑い転げていた。
「あっ……な、なら、よ、良かったです……」
「っはぁウケたウケた。ところでお主の名はなんというのじゃ? それになんかよく見たらここ、アタシの管理してる紡屋じゃないのじゃよ。名前ついでにここについて教えてくれんかいの?」
「アタシの名前は優谷ひかりと言います! 優れた人物の優れたを当て字っぽくした「すぐる」に、谷を音読みした「や」で「すぐるや」です! ひかりはそのままひらがなです! よろしくお願い致します!」
はつらつとした笑顔と、自己紹介をした後に90度に曲げるそのお辞儀の姿から、ひかりからは教養を感じさせた。
「うむ、よろしくの。最近の若い者にしては挨拶がしっかりしておるの」
気持ちの良い挨拶に、しっかりと何度もうなづくハピエル。
「そんなそんな。とても嬉しいですけど、照れてしまいますね。えへへ」
「まぁなんか、ツインテールだし動きが2000年代の萌えキャラっぽいし、古いって言われそうな感じなキャラしてるから親御さんの教育もちゃんとしておるんじゃろな、うんうん」
「そーなんですよねぇ〜! 割とまぁ古臭いドジっ子みたいな動きするので、よくそこを言われたりして――誰が古いですって????」
「あっ、えっと、違うのじゃよ? 全然あの、ディスとかでも無く、ほらっ礼儀正しとなんかこう家柄的なのを? 気にしてまう? みたいな!?」
「じーーーー」
「あっ、あの……怒らないでゅぇ? すまんかったのじゃ、えーとほら! 後でたこ焼きあげるから! な? 機嫌直してくれへんかの!?」
「あ、いえいえ、冗談ですよすみません。ちょっと古いってワードに引っ掛かっただけなので、あにゅっと気持ちを切り替えましょう!」
「な、なら良いのじゃよ! ふーー良かった……」
「それでなんですけど、実はアタシもこの場所の事が分かってなくて、上手く答えられないんですよね。凄く申し訳無い気持ちです」
1連の茶番劇が終わった後に本題に入ったひかり。安堵の表情を浮かべたハピエルと打って変わって、沈んだ表情を浮かべていた。
「そうか〜。まぁこの状況なら仕方ないじゃろ。神様のアタシでも、こんなのは初めてじゃからの」
(神様だけは譲らないのね)
「状況が謎だらけな上に、面識の無いアタシ達ですから、ちょっとこのままじゃ考える余地も無いですよね」
その時、ひかりの頭にはある光景がよぎった。そう、謎の生物が校庭の隅に居たあの光景だった。
「変な事を聞くかもしれませんが、ハピエルさんは昨日、白くて丸い生き物に出会いませんでしたな?」
「白くて丸い? んーー……あっ、確かにおったのう。なんか、桜の木の下にちょこんと座っておったんじゃ」
「アタシもその生き物を見たんです、見間違いだと思ったんですけど、いつも通りに寝て起きてたらこの状況でっ」
「なるほど。じゃあその生物がアタシ達をここに呼んだのかもしれないのじゃな。ひかり、中々に頭がキレるのぉ」
「まぁ、部活で謎解きみたいなのしてるので!」
褒められて嬉しそうにしている中、またもや2人の女性の声が聞こえてきた。
「あれ〜? 私の部屋に似てると思ったら違いますね〜。でも、なんかこの部屋だったかも? あっ、でもピート・モンドリアンの絵が無いから違うわね! これは失礼しました、いいえ失念です♪」
「えっ、待って。私制服なのに、また人の姿に……!?」
軽快に失念と言い放った紫髪の女性と、制服なのにと言う黒髪ボブの女性。
一同はまた少々の混乱を招いていた。
「あにゅー!? また人が増えた!?」
「なんじゃなんじゃ、えらい独特な2人がまた来たのぉ。お主らの名前はなんじゃ?」
びっくりしているひかりをよそに、冷静に質問をするハピエル。
「私ですか? 私は『イフ』って言います! イフちゃんって呼んでくださいね♪ 好きな物は人とお菓子です! 学は無いけど難しい話は大好きです!♪」
紫髪のイフはひょうひょうと答える。
「私は……私の名前? なんでしょう。いつも自分の事を私って言ってますし、それに私は制服だし……」
黒髪ボブの女性は、ずっと自分の事を制服と言っていた。
「えっと、制服? って事はアタシと同じくらいの歳の方でしょうか? でもお姉さん、大人っぽいから違かったらすみませんっ」
ひかりは恐る恐るに、黒髪の女性に告げる。
「制服……じゃなくて! 私はそのっ……あっ、セ、セイ! 私の名前はセイです!」
黒髪ボブの女性は、自分の事をセイと言った。
「セイさんですね! 皆さんなんか素敵な名前で、アタシちょっと感動しちゃってますかも! やも!」
「お主の名も良いじゃろうひかり。セイじゃの、よろしく」
新しい登場人物に、色々と話を聞こうとしたその瞬間だった。
ににーーという変な声が聞こえてきたのは。
「あにゅっ、なんか聞こえません??」
「確かに聞こえるのじゃ」
「なんでしょうね〜! 何かのショーですかね〜♪」
「えっ、えっ、なんか怖い……」
すると突然、ポンっと目の前にあの生物が現れた。
一同は固まってしまった。
その沈黙を破ったのは、ひかりだった。
「あ、あにゅー! あの顔の無いまるまるちゃん、アタシ昨日も見たんです!」
◯●◯●
「という感じで今に至るんですけど、こたつの熱さは大丈夫ですかにに?」
「割と大丈夫ですよ! アタシ、冷え性だから温度高めでも大丈夫なんですよね~!」
「アタシも寒いのは苦手じゃから、割とこのくらいが丁度良いかのう。ごっつ極楽じゃ」
「私いつも寒そうな格好してるって言われるんですけど、寒さにはへっちゃらなので、少し熱めですかね! あ、でも多分大丈夫だと思います! 失礼しました、いいえ失念です!」
「なんで皆さん普通に話せてるんですか……。こたつに入ってるのも凄く謎ですよホントに……」
ウキウキする3人とは裏腹に、セイだけは真面目に怖がっている様子だった。
「まぁ、確かにセイさんの言う通りですよね。大分ワケワカメちゃんちゃんこな状況ですし」
「ワ、ワケワカメちゃんちゃんこ……」
「ひかり、それはセイちゃんが怖がるじゃろ」
「失礼しました! いいえ失念ですあにゅー!」
「あー! 私の語尾がマネされた〜! ひかりちゃん悪い子〜!」
「いやぁ〜、なんか聞いてたらだんだんクセになってきて、好きだなぁって思っちゃって」
「じゃあ使っていいですよ♡」
「イフちゃんはチョロいのぅ〜」
「あっ、あぁ……」
談笑の中、それを止めたのは謎の生物の声だった。
「ごほん。それじゃ今から皆さんには、あるテーマについてお話し合いをしてもらいます。それが終わった後、ある事をしてもらったら元の世界に帰って頂く事になりますにに」
「それは一体なんですか?」
ひかりが代表して質問をした。
「それはですねぇ〜」
一同は生き物の答えを待った。
「ある物語についてのクイズになりますにに!」
「「「「………………ク、クイズ!?」」」」
後半に続きます!!
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