雪降れば、犬は駆け回り? 猫は丸くなる?

越山明佳

第1話

「雪やこんこ、あられやこんこ――犬は喜び庭……にいない」


年に一度、雪が降るか、降らないか。

そんな地域に住む私が雪を見ればテンションあがるのは自然のこと。


勢いよく玄関の扉を開け、庭に出てみれば、飼っている犬のクッキーの姿が見えない。


雪だから私はてっきり庭を駆け回っているものだと思っていた。

拍子抜けで、とある童謡の正当性を疑う。


「クッキー」


クッキーは小屋の中で丸まっていた。

名前を呼ぶと仕方なさそうに、顔だけこちらに向け、私を見る。

仕方がないな、と言ってるかのようだ。


「出ておいで」


呼びかけても出てくる気配を微塵も感じない。

だめだこりゃ。




「雪やこんこ、あられやこんこ――犬は小屋で丸くなり、猫はこたつ……にいない」


シュッ!

シュッ! シュッ!


暖房が効いてる室内。

こたつに入る意味がないのだろう。

部屋の中を駆け回っている。


「ミケ〜、一緒にこたつ入ろう」

「にゃ〜」


イヤだと言ってるようだ。

なんだかなぁ〜。




「雪やこんこ、あられやこんこ――犬は小屋で丸くなり、猫は部屋で駆け回る」

「わん!」「にゃ!」

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