この山荘にはトウジに招待されて四人が集まってきた。

女の名前はミカコ。トウジの妻である。

とは言っても現在は別居中で夫婦の仲は冷え切っている。おそらく離婚まで秒読みだろう。

男の名前はヒロアキ。トウジの弟である。

家族の集まりと称して山荘に呼ばれて、当初は行く気がなかった。だが家賃が滞っていてしばらく家の外でやり過ごす場所が欲しくて仕方なくやってきた。

昔から兄のトウジとは馬が合わない。

眼鏡の男の名前はユタカ。トウジの部下である。

仕事のできは悪くないが、生来の気の弱さが災いして周囲には軽んじられている。

トウジの無茶ぶりとも言える行動に困り果てることが多いが直属の上司なので逆らえないことが悩みである。

老女の名前はトシエ。トウジとヒロアキの母である。

昔から気が強くしっかりとした性格で、本人曰く出来の悪い息子二人に手を焼いている。

加齢のため体が弱っており、最近は通いのヘルパーに世話をしてもらって生活している。

ーーー

いずれにもトウジを殺す理由がある。

ミカコは金づかいが荒く、いつも妻という立場を使ってトウジの金をアテにしている。

ヒロアキもミカコと同じく年中金に困っていてトウジに金を無心していた。

ユタカはトウジの身勝手な要求に表には出さないが日夜怒りを感じていた。

トシエはトウジが以前不正な取引をしていたことを知って、先代から継いできた会社を駄目にするくらいならば老い先短い自分とともに心中した方がいいのではないかと内心思っていた。

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