第0.2話

ドロップ。

魔物を倒すと倒した魔物の魔物カード。

その魔物の装備品。

食料品、飲み物、衣服、医療品その他など色々なものがドロップする。

僕は、バイトもせずにそれだけを頼りにして生活しようとしている。


「はぁ、まさか初日に死にかけるとは。」


第一階層での死因で一番多いのは、もちろん魔物個体数の急激な上昇。

つまり、魔物行進と呼ばれる現象だ。


「まあ、気を取り直してダンジョンを進もう。」


3日ぶりのダンジョン。

前回のダンジョンでの怪我の治りもそこそこにダンジョンに来た。

金属バットは凹んでいるし、プロテクターも所々が凹んでいる。

それでも、替えはないし、修復するお金もない。


「ギィ?」


ゴブリンがいた。


ガギン!!


バット一振りで殺した。殺せた。

ゴブリンを殺すコツは掴んだかもしれない。

もちろん、灰になって消えただけだった。


「次。」


出会う魔物を殺して、逃げて、ダンジョン内での人との関わりは極力避けた。


気づけば、ひと月が経っていた。

プロテクターも金属バットも使い物にならなってきた、ある日ゴブリンからドロップが落ちた。


「まさか、初ドロップがカードとは。」


魔物カード。

魔物を使役することができる。


「『発現』」


「ギィ」


ゴブリンが現れた。

カードには


ゴブリン(G)

レベル 1

装備 木の盾、棍棒

スキル なし


「ジャンプ」


ゴブリンがとんだ。


「お座り」


ゴブリンが座った。


「それじゃあ、『カード』」


ゴブリンがカードに戻った。


「ネットで調べた通りだな。よし、よし、よっしゃあああァァァァ!!!」


ーーーーーーーーーーー


「それで、太陽君はダンジョンに入っているわけだ」


「はい。」


「ダンジョンに入るということは危険なことですよね。」


「はい。」


「それを理解して、入るということですか?」


「はい。」


「じゃあ、私からは何も言いません。」


「はい。」


「成績は、、、まだですかね?中間テストはいつですか?」


「6月くらいじゃないですかね?」


「分かりました。赤点にならないように気をつけてくださいね。」


「はい。」


「それじゃあ、お餅でも食べていきますか?」


「はい、喜んで。」


僕の保護司をしてくれている田中さん。

この人には頭が上がらないとはこのことだ。


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