2. 最後のプログラム
翌朝、真一は数十分おきに襲う激痛に耐えながら、研究所の端末へアクセスする。香織のAIコアを自作のコードで直接繋ぎ、“融合プログラム”の最終チェックに入った。世界中のアンドロイドを救うウイルスワクチンと、真一と香織の感情データを組み込んだ次世代エンジンのアップロードが、いよいよ完了しようとしている。
呼吸が浅くなり、眩暈がする中、真一はターミナルにキーボードを叩き込み続ける。
「……あと少し……もう少しで完成だ……。香織……待ってろ……今度こそ救うから……」
背中を走る激痛にうめき声を上げながらも、彼はコードを止めない。視界が暗転しそうになるたびに、亡き樋山香織の笑顔と、今の香織(アンドロイド)が楽しげに微笑んだ姿を頭に思い浮かべる。その二人がどれほど彼の人生にとって大切か、改めて突きつけられるような思いだ。
やがてキーボードの最後のエンターキーを押す瞬間、真一は独白のように呟く。
「……愛してる、香織……オレは……二度とお前を失いたくなかった……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます