六
それから数時間後。実験室はひどい散乱の状態だったが、機材や研究設備に致命的な損傷はなかった。不思議な白い光に包まれたあの瞬間――あれは何だったのか。全員が半信半疑のまま、手分けして後処理に追われていた。
通信ログの解析はまるで進んでいない。ともすると、あれはただの誤作動だったのかもしれない。だが玲奈は、画面に映る暗号めいたパターンを見つめていると、胸の奥でざわざわとした何かが騒ぎ出すのを感じた。
「これは、偶然じゃない」と、心のどこかで強く確信している。
拓海も同じ思いらしく、何度も過去の天文データに当てはめては、同じ波形がないか探していた。パルスは再び消えてしまったが、きっとまた何か起きるはず。二人ともその根拠のない確信に駆られていた。
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