『七谷愛美』の場合

くっそかったるい。

なんで俺が山なんか登らなきゃあならないんだ。

そんなの登りたいやつだけで十分だろ。

わざわざここまで来たことに感謝してほしいぐらいだ。

俺は登らないからな。





ちっ、なるの野郎が五月蝿いから登ってやるが次はないからな。

しっかし、団体行動ってやっぱ面倒くせぇわ。

ちんたら歩く奴もいるし、景色なんてどーでもいいんだよ。

十方とおかたは、少し前にいるのか。

あー……っち、パリピが多くて、面倒くせ。

今は、声かけらんねーじゃねーか。


「ねぇ、もう少し静かにしてくれない?気が散るんだけど」


「はぁ、それ俺に言ってんのか?兄の劣化版でしかない奴がよぉ、喧嘩売ってんのか?」


「タイマンっすか?うちは、らぶぃ応援っすよ」


急になんだってんだ?

優希ゆうきの奴、俺に文句つけやがって。

頭おかしいだろ。

言うだけ言って、前向いたしよう。

これが学校行事じゃなかったらぶん殴ってたぞ。

あー、一気に気分が下がったわ。

底辺に落ちたわ。

これじゃあ、午後からの飯ごうはもっとテキトーだなこりゃ。





おいおい、なんだこりゃ。

なんで手際が悪いんだこいつらは。

飯なんて簡単だろう。

パッとやってポッだ。

ほら簡単だ、もうできた。

びっくりした。

十方がなんで俺の前にいるんだよ。

美味しそうだから見に来た?

はっ、そうかよ。

なら見てけ、ついでに食ってくか?

俺の飯は上手いだろう?

いつも自炊してるから当たり前よ。

成も、そんな所におらずに食えよ。

あっ、十方もう行くのか!

ちょっとはゆっくりしろよな。






夜はキャンプファイヤーか。

俺は、ここから見させてもらうぜ。

参加強制じゃないならいいだろ。

は?なんだよ十方、踊らないのかって?

いやいや、俺には無理だぞ。

踊れるわけがないだろう。

ふー、断れてよかったぜ。

成も言ってくれて助かったぜ。

危うく醜態晒すとこだったぜ。

まぁ、嫌いじゃないんだかな。

大勢いるしな。

時と場合考えてほしかったぜ。

まぁ、次だな次。

今日は他の奴の踊り方見させてもらって、今度は俺から誘うとしよう。

そうしよう。

















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七谷愛美がクラスの人の名を言うときは、名前を呼び捨てです。十方のみ苗字です。

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