『五島芽依』の場合
林間学校、私の独壇場というやつね。
隠密集団の末裔(自称)の私にとっては楽勝のイベント。
でも、それは十方涼も同じ。
同じ類いの人間なのだから当たり前よね。
私達は、忍び、陰の者。
表舞台には出ない。
裏世界の住人。
誰に見られることもなく、気づかれることもなく、私達はそこにいる。
背後に気をつけることね。
隙を作ったら最後よ。
私の忍術で貴方をケチョンケチョンにしてやるわ。
く、まさか、ここまでとは。
この私が、手も足も出ないなんてね。
十方涼、まるで隙がないじゃない。
仲間の配置がまさに絶妙。
いつも誰かが周りにいるじゃない。
山の地形も上手く使ってるわね。
背後をとらせる気が全くないわ。
ここは、お預けね。
次の飯ごうの時間が勝負。
皆が同じ行動をするわけじゃないから、必ず隙ができる。
そこを狙うわ。
首を洗って待っていなさいな。
く、まさか、ここもとはね。
人が付かず離れずいるじゃない。
最初は、
こうなったら、米が炊きあがるまでの時間を狙うしかない。
集中しているその時こそが、貴方の最後。
私の忍術合技、
絶叫と悲鳴が目に浮かぶ。
恥部を露出した貴方は干され、化けの皮は剥がれる。
覚悟しなさい。
でもその前に腹ごしらえよ。
忍術合技を放つには十分なエネルギーがいる。
ちょうど近くに、先に炊き上がりそうなのがあるわ。
それをいただくとしましょう。
「なんで、食べてるんですか!?」
「んな!私の残像を見破るなんて!貴方も里のものなのね!」
まさか、もう一人いたなんてね。
十方の隣に常にいるこの女も忍びだったとはね。
恐れ入ったわ。
この女のせいで、好機を逃したから、もう後が無い。
最後はキャンプファイヤー。
物理攻撃ではなく、精神攻撃で貴方を瓦解させるわ、十方涼。
ふっ、今回はさすがに仲間を傍に置けてないわね。
これなら問題ないわ。
あの女も遠くから見ているだけだし、私の忍術合技、
作戦は完璧。
さぁ、見なさい!
この私を!
………。
えっ、眼鏡しない方が良いって?
えっ、それ本当!?
あ、えっと、その、うん、あ、りがと…。
くっ、まさか、私の精神攻撃を反射させるなんて、なんてやつ。
見かけによらず、計算高いわね。
ここまで策謀を練っているなんて、私じゃなければ気付かないわ。
十方涼、侮れないわ。
とりあえず、いまは治療に専念しましょうか。
この程度の精神反射攻撃問題ないけど、潜伏型かもしれないし、暫くは、様子見ね。
次こそは貴方に勝ってみせるわ、十方涼!
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五島芽依がクラスの人の名を言うときは、苗字+さん付けです。男性の場合は、苗字+くん付け。十方を心の中で呼ぶときはフルネーム呼び捨てです。
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