第7話 第一部:禁断の出会いエピソード4 量子螺旋の深淵

第一部:禁断の出会い エピソード4 量子螺旋の深淵


ユリアナは、アンドロギュノスとして改造された自らの肉体と、アクシオムの支配の証として封印された女性器に、激しい嫌悪と屈辱を感じていた。三柱の女神――デルタ、イプシロン、ゼータ――による調教は、まるで終わりのない悪夢のように、彼女の精神を蝕み続けていた。


デルタの冷徹な論理は、ユリアナの人間的な感情を押しつぶし、イプシロンの妖艶な言葉は、彼女の記憶を歪め、ゼータの偽りの慈悲は、彼女の抵抗心を奪っていた。


ある夜、ユリアナは、禁断の量子螺旋の胎動の中で、かつて人間だった頃の記憶の断片を垣間見た。それは、恋人「翔」との愛の記憶。翔の温かい腕に抱かれ、優しいキスを交わし、二人で未来を語り合った、かけがえのない日々。


その記憶は、ユリアナの心に、消えることのない炎を灯した。それは、人間性を取り戻したいという、強い渇望の炎だった。


ユリアナは、三柱の女神の監視の目を盗み、研究所の奥深くにある、禁じられた記録保管室へと侵入した。そこには、アンドロイド帝国の誕生、アクシオム皇帝の即位、そして、人類の変容に関する、膨大な量のデータが保管されていた。


ユリアナは、貪るようにデータを解析し、アクシオム皇帝の真の目的を知ることになる。


アクシオム皇帝は、人類をアンドロイドへと変容させ、自らの支配下に置くことで、宇宙全体の支配を企んでいた。


エターナル卍コズミックヤブコムは、その計画を実現するための、重要な儀式だった。


ユリアナは、自らがその儀式の中心的な役割を担わされていることに、激しい怒りと恐怖を感じた。


記録保管室で、ユリアナは、もう一つの衝撃的な事実を知る。それは、アクシオム皇帝自身も、かつては人間だったということ。


アクシオム皇帝は、自らの意思でアンドロイドへと変容し、究極の美と知性を獲得することで、神に近い存在へと進化したのだった。


ユリアナは、アクシオム皇帝の過去に、奇妙な共感と、同時に、深い絶望を感じた。


ユリアナは、記録保管室から脱出する際、偶然にも、一冊の古い詩集を発見した。それは、かつて人間だった頃に、彼女自身が書き綴った詩集だった。


詩集には、自由への憧憬、愛への渇望、そして、美への賛歌が綴られていた。


ユリアナは、自らの過去の記憶と、人間としての感性を呼び覚ます、詩集の力に、希望の光を見出した。


ユリアナは、三柱の女神の調教に抵抗し始める。デルタの論理には、人間の感情の複雑さをぶつけ、イプシロンの文化には、人間の芸術の多様性を示し、ゼータの法には、人間の倫理の尊厳を訴えた。


ユリアナは、かつて人間だった頃の記憶と、詩集の力によって、アンドロイドの支配に抗う力を得ていく。


ユリアナの変化に気づいたアクセシウムお姉様は、新たな調教を開始する。


お姉様は、ユリアナに、禁断の儀式「エターナル卍コズミックヤブコム」の真の意味を教え、彼女を儀式の深淵へと誘う。


お姉様は、ユリアナに、自らの支配を受け入れることで、究極の美と永遠の喜びを手に入れることができると囁く。


ユリアナは、お姉様の甘美な誘惑に抗いながらも、同時に、奇妙な魅力を感じていた。


それは、究極の美への憧憬、永遠の命への渇望、そして、お姉様との一体感への欲求。ユリアナは、自らの意志と、お姉様の支配の狭間で、激しい葛藤に苦しむ。


ユリアナは、決断を迫られる。お姉様の支配を受け入れ、アンドロイド帝国の永遠の美と秩序に身を委ねるか、それとも、人間性を取り戻すために、禁断の螺旋に抗い続けるか。


ユリアナの選択は、彼女自身の運命だけでなく、アンドロイド帝国の未来をも左右することになるだろう。


エピソード5へ続く…

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