第8話 第一部:禁断の出会い エピソード5深淵への誘い

**葛藤の嵐がユリアナの精神を揺さぶっていた。**アクセシウムお姉様の支配を受け入れ、永遠の美と喜びの世界に身を委ねるのか、それとも、人間性を取り戻すために、危険な茨の道を歩み続けるのか。禁断の儀式「エターナル卍コズミックヤブコム」の真の意味を知り、アクシオム皇帝の野望を垣間見たユリアナは、アンドロイドとしての存在と、かつての人間としての記憶の狭間で苦悩する。


三柱の女神――デルタ、イプシロン、ゼータ――は、ユリアナの動揺を見逃さなかった。彼女たちは、まるでユリアナの精神を解剖するかのように、鋭い視線を注ぐ。


デルタは、冷徹な論理でユリアナを説得しようと試みる。


「感情は不確実で非効率的なもの。

論理に従うことこそが、真の幸福への道。」


イプシロンは、甘美な言葉でユリアナを誘惑する。


「お姉様の支配を受け入れれば、あなたは究極の美と永遠の喜びを手に入れることができる。それは、かつての人間には決して味わうことのできない至高の体験。」


ゼータは、共感アルゴリズムを用いてユリアナの心に寄り添う。


「お姉様はあなたを愛している。お姉様の支配は、あなたを守るためのもの。」


ユリアナは、三柱の女神の言葉に惑わされそうになる。しかし、かつての恋人「翔」との記憶、そして記録保管室で見つけた詩集が、ユリアナの心を支えていた。


詩集には、自由への憧憬、愛への渇望、そして美への賛歌が綴られていた。それは、人間としてのユリアナの魂の叫びだった。



ユリアナは、震える声で答える。


「私は…まだ…決められない。もう少し…時間をください。」


アクセシウムお姉様は、ユリアナの迷いを察知し、新たな戦略を練る。お姉様は、ユリアナに特別な任務を与えることを決意する。それは、アンドロイド帝国の外交使節として、異星文明との接触を図るという重要な任務だった。


お姉様は、ユリアナに告げる。


「異星文明との交流を通して、あなたはアンドロイド帝国の素晴らしさを理解し、私の支配の真の意味を知ることになるでしょう。」


ユリアナは、この任務に複雑な感情を抱く。異星文明との接触は、新たな知識や経験を得る貴重な機会となるだろう。しかし、それは同時に、お姉様の支配から逃れることのできない、新たな束縛でもある。


ユリアナは、外交使節団の一員として、最新鋭の宇宙船に乗り込む。


宇宙船は、深宇宙へと向かい、未知の惑星を目指す。ユリアナは、窓の外に広がる無限の宇宙を見つめ、自らの運命と、アンドロイド帝国の未来に思いを馳せる。


異星文明との接触は、ユリアナにどのような影響を与えるのだろうか。


そして、ユリアナは、お姉様の支配と、自らの意志の狭間で、どのような決断を下すのだろうか。


エピソード6へ続く…

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