学校へ
ルース、ユイ、行かないでくれ。
なんで俺を置いてくんだよ。
待って……
「大丈夫?柊くん」
俺の悪夢は森田先生の声によって打ち切られた。
目を擦り、体を起き上がらせる。
そうだった。酔った先生にごねられて一緒のベットで寝たんだった。
「おはようございます、先生」
俺はそう言い、ベッドから起きた。
今日は何をするんだっけ。
「柊くんはほかの学校に行くことになったから送るね」
いじめが原因で自殺しようとしたため、転校することになったらしい。
この世界に来たばっかりの俺にはそれは好都合だ。
「これ、今日からの制服」
手渡されたのは軍服のような黒い服。
これからはこれか、と袖を通しながら考えた。
その後、森田先生の焼いた少し焦げたパンのようなものを食べて学校に向かった。
――――
「じゃあ、また帰りに来るね柊くん」
と、手を振って先生は去っていった。
「はじめまして、佐々木柊くん」
後ろから声が聞こえ振り向くと、スーツをきっちりと着た年配の男の人が立っていた。
それに対し俺は会釈をする。
「私はこういうものです」
小さな紙を渡され、それを見ると、校長と書いてあった。
「校長先生」
そう呟くと校長先生は微笑んで頷いた。
「さあ、クラスに行きましょう」
俺は校長先生の後を着いて言った。
魔術学校のようなつくりのこの建物は高校というらしい。
俺が今から行くのは1年A組。転校生として、だ。
色々なスーツを着た先生らしき人達が俺に対して挨拶をしてくる。
あの頃に戻ったような気分だった。
1年A組の前に来ると1人の男の人が待っていた。
「はじめまして、佐々木さん。ぼくは担任の山岡です」
そう言い頭を下げる山岡という先生を見ておれも頭を下げた。
後ろでは校長先生が帰っていく音が聞こえる。
「緊張してる?」
山岡先生が微笑みながら聞く。
「あんまり、です」
俺はそう答えた。
「大丈夫そうだね、よし行こっか」
そうして山岡先生と俺は教室の中に足を踏み入れた。
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