森田先生宅
「ありがとうございました」
そう頭を下げる森田先生の横でおれも形式的に頭を下げる。もちろん、意味は分からないが。
今後俺は森田先生の家で引き取られることになったそうだ。
この世界について何も分からない俺にとっては好都合だろう。
「今日から、よろしく、お願いします」
言葉を絞り出した俺に森田先生は笑いながら答えてくれた。
「そんな固くならなくていいのよ、30過ぎた独身の部屋だから汚いけどごめんね」
だそうだ。
この世界の料理、生活にも慣れなければいけないな。
あっちでは宮廷魔術師の子供として生活していた俺にとっては新鮮な事ばかりだ。
―――― ――――
「ここよ、柊くん」
森田先生の家の前についたようだ。
レンガのようなもので立てられた城みたいな家だ。
あとあとマンションと呼ぶことを知った。
「失礼します」
そう一言いい、俺たちは中に入った。
中は言ってしまうと狭かった。宮殿と比べているのでしょうがないが、だ。
中を森田先生が案内してくれた。
この世界のトイレはとても素晴らしい。
料理は火ではなく「あいえいち」と言うものでするらしい。
「こんな感じかな、ごめんねー、狭くて」
という森田先生の横で俺はちょこんと座っていた。
「服とか制服以外は私のでいいかな?」
と聞く森田先生に俺は頷いた。
この人の服かあと思ったのはさておきだが。
すると、おもむろに森田先生は台所の方に行き、白い箱の中からなにか取りだし、それを飲み始めた。
「なんですか、それは」
俺の言葉を聞きもせず、森田先生はそれを飲み干した。
「んん?あぁ、これはビールだよ」
ビール?酒のことだろうか。
この世界では酒はあぁやって入ってるのだな。
俺は酒はあんま得意じゃないため飲まないが。
しかし、森田先生はあまりにも美味しそうに飲むな。
「柊くんは風呂でも、はいる?」
風呂か。
あっちではあまり入ってなかったなあ。
久しぶりに入って見たい気持ちもあるし、この世界の風呂を見てみたい。
「入ります!」
食い気味に答える俺を見て、森田先生は微笑んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます