現実転生
「うぅ……」
俺は目を覚ますと、真っ白な空間にいた。
周りを見てもただ白いだけだ。
「何処だ、ここは」
体が動かない。目だけを動かし状況を把握する。
その時、脳内に声が響いた。
「起きたか、レスリム」
不快感が俺を襲う、がその不快感より先に俺は口を開いた。
「誰だ」
魔術を使おうとしても体が動かず、何も出来なかった。
「そんなに冷たくなるな、レスリム。助けてやろうと思ってるんだ」
嘲笑するような口調で何者かは言った。
しかし、助けるという言葉が俺にとってはとても大きかった。
「助けて、くれるのか」
一縷の希望を託し俺が絞り出した言葉は何者かの声によって応えられた。
「あぁ、最強の魔術師、レスリムよ。どんな助け方が良いか」
俺は目を輝かかせた。
「そのまま生き返らせてくれ!頼む!」
しかし、俺の言葉は何者かには届かなかった。
「嫌だね」
笑っているのだろうと思われる口調で、何者かは言った。
やっぱり死ぬのか。
そう思う俺に何者かが追い討ちのように言った。
「消えろ」
その声を聞いた直後、俺は意識を失った……
―――― ―――― ―――― ―――― ――――
「ここ、どこだ」
頭が痛い。俺、何してんだっけ。
頑張って思い出そうとするが、頭が痛くて思い出せない。
「なんだこれ」
動こうとしても体が痛く、腕には糸のようなものがいくつか付いていた。
周りを見ても白いベッドに白い毛布があるだけだった。
「あ、先生!起きました!」
耳元で叫ぶ声を聞いた。誰かが俺の近くにいるようだ。
すると、何人かの白い服を着た人が走って入ってきた。
敵か……?
魔術を使おうと思ったが、思うように動かなかった。
「名前、言える?」
白い服を着た男が俺に尋ねた。
「……レスリム……ストレイダール」
俺は声を絞り出すと、周りにいる人達はハッとしている。
「記憶喪失、か」
さっきの男が何かを紙に書く。
どういうことだ?
俺は理解ができなかった。
スーツを着た女が俺の視界に入ってきた。
「あのね、君の名前は佐々木
ううん、どういうことなのかがさっぱり分からなかった。
「ささき、しゅう」
俺はその名前を繰り返す。
あの変なやつがなんかしたのだろうか、という考えが頭をよぎる。
担任、ということは俺は高校生か何かなのだろうか。
これからはレスリムなんて言ったら大変なことになりそうだ。
そう考えてるうちに、白い服を着た人達は出ていった。
「柊くん、何があったのか覚えてる?」
たぶん先生の森田先生からの言葉に俺は戸惑う。
なんてったって、記憶が無いからな。
「わかんない、です」
そう答えた俺に森田先生は優しく教えてくれた。
佐々木柊という人物は家族が居ないらしく、学校でもひとりでおりそのため虐められることも多かったらしい。
そして、それに耐えれなくなり橋の上から川への飛び降り自殺を計ったそうだ。
病院からの連絡に駆けつけた森田先生が一晩そばに居たらしい。
「ってことがあったの」
言い終わると森田先生はそとへ出ていってしまった。
ある程度理解した俺は悲しくなった。
「やっぱり、死んだのかな」
ルースやユイはどうなったのだろうか。
不安が俺を襲う。
しかし、ひとつの希望が見える。
「魔術さえ、使えれば」
そうだ、魔術さえ使えればこの世界でも生きられるだろう。
そう考えた俺は腕に付いていた糸を引っ張りちぎって、起きようとした。
しかし、体が痛い。
「まずは、回復魔術を使わねば」
そう思い、拳をにぎりしめる。
いつも通りだ。
「リカバー」
と呟くが何も起こらない。
なんでだ……
さっきより力を込める。
「リカバー」
そう言うと、黄緑色に光った。
使えるぞ、魔術が!
他のも使いたい欲に襲われたが、ぐっと我慢した。
「今日はこの辺りにしよう」
そのとき、白い服の集団がまた入ってきたため布団に戻った。
その後、森田先生を通じ元気になったことを話したところ外に出してもらった。
これからどうしようという思いを抱きつつ俺は決意を固める。
「生きていくぞ、また会うんだ」
――――――――――――――
1話読んでいただきありがとうございます!
作者のゆすらぎと言います(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”
よければスターなどしてくれると嬉しいです😭
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