神の一声

ある日、神は動物達に言った。「正月に私の元に来たものから十二の年をやろう。」

大半の動物は神の世迷言と受け取って相手にしなかったが、後に十二支と呼ばれる動物達は違った。その動物達は様々な事情から、自らを年の一部に組み込みたいと神の一声から思考を巡らせて帰路に着いていた。

そもそもなぜ神はそのようなことを言い出したのだろうか?神の知恵を前に浅慮な我々はあまりにも愚鈍であり、考えるだけ無駄というのが動物達の総意だった。そうして動物達が帰路に着き始めた頃、神は一人考えていた。

何を?そんなことは理解出来るはずもない。

だがこれから始まる一夜の競走が、何年も語り継がれることになるということは神の思考に触れなくとも分かることであろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編 獣の環状線 @jyurokkakukei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画