第2話 片山博康 会館事務所

 議員会館十一階の奥に構える片山博康事務所。


 応接室

奥には代議士用の大きな事務机。

机上に乱雑に積み重ねた書類と決裁箱。

左の壁には鍵の付いた書類棚。

書類棚上段には六法全書・判例集・哲学書。

中央の段に各項目別に分けられた数十冊の『陳情ファイル』。

陳情ファイルは日時別に付箋が。

そして下段には何故(ナゼ)か『盆栽の月間誌』が整然と納めてある。

応接中央には長テーブル。

テーブルを隔てソファーが二つ。

上座(カミザ)は代議士用のソファー。


 壁には世界地図。

地図には「ウクライナとロシア・イスラエルとガザ地区」が赤い鉛筆で囲んである。


壁の中央には額に収まった『蝋燭と灯』の色紙。


その隣りに『核廃絶』と書かれた片山博康の選挙ポスター。ポスターの写真は両手を軽く胸の前に合わせ、慈愛に満ちた微笑みを湛えている。

が、良く見ると純白のワイシャツ(カフスボタン)の袖口から覗(ノゾ)く白いメリヤスの長袖肌着が支持者の愛着を注ぐ。

                          つづく

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