風刺コメディ『ドラマ・第二秘書』縦書き

土屋寛文(サルバドール・土屋)

第1話 秘書日報

 国会議事堂の松の樹にカラスが数羽停まって鳴いている。


 「アホー、アホー、カ、カ、カ、カ」


背広の胸に菊のバッチを付けた男が公用車(アルファード)に乗り込む。

後部座席で男は腕時計を見ながら、


 「間に合うか」

 「ハイ!」

 「例の件だけどね。・・・土屋君でどうだろう」

 「ハイ! じゃ、明日から」

 「そうだね。丁寧に教えてやってね」

 「ハイ」


車を降りて足早に改札に消えて行く『本人』。


 某月某日

秘書日報 熊川憲護

本日、秘書(運転手)不足により、15時より代議士付き運転手を命ぜられる。

第一議員会館『車寄せ』に車を回す。

本人(片山博康 財務副大臣)が地元(群馬)帰省の為、東京駅に向かう。

車中、本人の指示を受ける。

東京駅(丸の内口)に車を停め、本人を見送る。

会館事務所に戻り、松永(松永笑美・女性事務員・秘書)に『土屋政治(ツチヤ・マサハル)』の採用決定を知らせる。

松永を通じて明朝8時に事務所に来るよう指示。

土屋政治の名刺を2ケース用意と伝える。

                          以上

                          つづく

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