「ねえ、大丈夫?」
@Sbasy
全1話
AとBがショッピングモールでデートしていると、偶然にもベビー用品のプロモーションイベントに出くわした。
一列に並ぶ小さくて可愛い服を見て、Aは思わず近づいて見入ってしまう。しかし、Bは明らかに気乗りしない様子で、話題を変えようと試みていた。
5年前、Aは友人の集まりでBと出会った。Bの熱烈なアプローチの末、二人は出会って1週間も経たないうちに付き合い始め、交際3ヶ月で同棲を開始。それ以来、ずっと一緒に暮らしている。
二人とも結婚を望んではいるが、子供を持つことについてはどうしても意見が一致しない。理由は二つ。Bが自ら話題にすることがないのと、Aが切り出しても、今回のように話が途中で終わってしまうことが多いからだ。
Aは子供の笑い声がない人生を想像することができなかった。そして、勇気を振り絞り自分の思いを伝える決意をした。
「子供、欲しくないの?」
「……君は欲しいの?」
Aはうなずき、Bの目を真っ直ぐ見つめた。その目の奥にある渇望と恐れを感じ取る。
「数年後に考えるのじゃダメかな?」
Aの胸はズシリと重くなった。Bは90点の理想的な恋人だけれど、本当に自分たちが合っているのか疑い始めた。
「本当に欲しくないなら正直に言っていいよ。こういうのって無理強いするものじゃないし。」
「欲しくないわけじゃない。ただ……ああ、もう!先に約束してくれ、絶対に笑わないって!」
何度も誓い、早く続きを話すようBを促した。
「君が子供好きなのはわかってる。でも、子供ってあんなに可愛いだろ?俺があいつらに勝てるわけないじゃないか……」
Aは体を震わせ、最後にはこらえきれずに笑ってしまった。それを見たBは怒って足早に立ち去る。慌てて追いかけ、謝りながら声をかけた。
「ねえ、私そっくりのミニ版が生まれてきて、毎日私とあなたを取り合うところなんて想像したことない?」
Bは足を止めた。驚きで固まった顔が徐々に赤く染まり、最後にはその場に身を屈め、頭を抱え、大きなため息をついた。
「例えミニ版じゃなくても、私たちは絶対にあなたに二倍の愛を注ぐよ。本当に欲しくない?」
Bは小さな声で『欲しい』と呟いた。Aは彼の前に静かに膝をつき、前髪を整え、そっと頬にキスをした。
「ねえ、大丈夫?」 @Sbasy
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