第4話 特定とか勘弁してください!!
4話 特定とか勘弁してください!!
ピンポーン
「ごめんくださーい」
ぬうっ、来客か……あいにく今我が家には夏休みの怠惰を満喫している吾輩しか居ない……仕方あるまい、我が対応しよう。
予約してたプラモかもしれないしなさっさと出よう出よう。
「はーい!今行きまーす!」
ガラリと玄関を開けた先にはまるで漫画から出て来た様なThe大和撫子!と言った様子の姫カットに薄手のカーディガンの女の子が立っていた。
…………なにごと?いやここで舞い上がるなよ山野コウタ高校三年生!何処かの家と間違ったとかかな?!スマホとか得意じゃ無さそうだしな!!
「すみません、山野コウタさんのお宅はこちらでしょうか?」
ひょえっ!声まで美少女!……じゃなくてコイツなんで俺の名前を……
「昨日は一方的に悪者だと決めつけ先走ってしまい、申し訳ありませんでした。」
目の前の大和撫子美少女が深々と頭を下げる。
「………ひょっとして昨日の上級騎士さんですか………?」
「はい。我々陰陽師の系譜としてのモデレーターの仕事が行き過ぎてしまいました………身勝手な配信者の方だとは気付かずすみません」
「えっ、上級騎士ってモデレーターなんですぶぎゃっ!!」
何?何!なんで今俺ぶっ飛ばされた?!
「お嬢様、やはりコイツは違います。モデレーターの事を「上級騎士」と言うのは一般ユーザーであり、我々陰陽師がモデレーターと呼んで居る事は伏せられています。貴方の事を「お嬢様」と呼んだのは貴方の事を知ってでは無く皮肉のつもりで言ったのでしょう。さ、帰りますよ」
俺をぶっ飛ばしたのは地味な服を着たボブカットのこれと言って特徴の無い女だった。いや、コレはあえて意図的に地味にしている?さてはこのお嬢様のSPとかなのか?いやなんにせよ俺はカチンと来たから廊下から玄関の女に吠える。
「いきなり何をすんじゃクソボケが!何のつもりだテメェは!」
「貴様の様な下郎に名乗る名は無い。お嬢様の見立てが正しければ良かったのだが残念だ。」
「いきなりぶっ飛ばしてきて残念だなんて、てめぇの頭が残念なんじゃねぇか?理由もなく殴られて喜ぶ奴は居るかよ!」
感情に乗って喧嘩腰になるが、こちらから殴りはしない。だって女だからな。だがいきなりぶっ飛ばしてきた仕返しはさせて貰う!!
「お嬢様が大事なのは良いがてめぇが空回りして恥をかくのはそのお嬢様なんやぞ!分かってんのか!謝りに来たその足で蹴っ飛ばされたらお前じゃなくそのお嬢様の信用が無くなるんやぞ!?」
ビュン!と凄い速度で顔の横を白い健康的な足が振り下ろされる。っぶねー避けなかったら意識を刈り取られてたな。
「無言で蹴り込んで来たってなら図星か?さてはこれが初めてじゃないな?何回同じ失敗をちたのかなーー?!」
ダァン!と凄い足踏みで廊下の板が砕ける。ちょっ……煽ったワイが言えた事じゃないがキレ過ぎでは?
よく見ると地味めな女はぼんやりと“もや”の様なモノを身体に纏い初めていた。……ここ精騎士物語オンラインの世界じゃないよな?アレまんまゲームの身体強化スキルのエフェクトっぽいんだが?
「ころす」「やめなさいッッッッッッ!」
バガァン!!俺の背後で家の壁が砕ける音がした。ッッいってぇ!!ガードした手とか折れ……て無いな!少し痺れるが動く!ヨシ!
「頭を冷やしなさいシノ!!今回は、いえ今回も貴方が悪いですよ!!私は言い掛かりを付けた謝罪と個人的なお願いの為に来たのです!それを貴方は術など使って!!はやくお屋敷に連れて行かなきゃ!!術師に見てもらわないときっと腕が折れて………」
「あー、大丈夫。ちょっと痺れるけど動くし曲げ伸ばしも違和感無いよ。それより今リアルで精騎士のスキル使って無かった?」
シノと呼ばれた地味女はビクッ!とするとお嬢様の横で小さくなる……コイツホンマ護衛とか向いてないな?
「あの……精騎士のスキルと言いますと……本当に陰陽師の……“こちら側”では無いんですね?」
わなわなと手を震わせるお嬢様。なんなの?やっぱりこのお嬢様電波ゆんゆん系?
「お、お嬢様。私の気を込めた蹴りですよ?一般人ならアーマーを付けてても、陰陽師でさえ下級の者ならばバッキリ折れてますってコイツヤバいです在野の無意識に使えてる奴ですツチノコみたいなモンです。今のうちに逆らえない様にしてお嬢様のコマにしましょうよ」
コイツ……なんかヒドい事言ってるな。マジでお嬢様に付けられる護衛の仕事してない……可哀想になって来たなお嬢様が。あ、お嬢様も可哀想な目で見てる。
「あー、“こちら側”というのはさっきからポロポロ言ってる陰陽師とか術とかってのと関係が?リアルに居るんですか?」
お嬢様はニンマリとするとその場で電話を掛け始める。見つけた、手勢、背後も無い、捕まえておく、囲い込む、私のモノ、………う〜んセリフだけ聞くとヤンデレモノっぽくてこれはこれで。
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