第3話 お嬢様っぽいな
3話 お嬢様っぽいな
なになになになに?!丸呑み?そんなのあるの?俺にはそんな特殊性癖は無いぞ!?
「ツチノコさん、あなたの相棒の人間さんは悪い事をしたからごめんなさいしなきゃいけないんです。だからそれをペッしてくれませんか?」
腹の中にいるからかくぐもって聞こえるが外の上級騎士様はそんな事を言ってる……ううむ、というかなんでワイはリスポンしてないんや?あ、じわじわ体力回復してるわこれ。
「落ち着いて話をする気になったかい上級騎士様。俺はカイト、そこで丸呑みされた奴はコウタ。俺達2人で果獣を狩ってた時に配信者のタクマとか言ってた奴がツチノコはレアだから俺が倒すって言って攻撃を仕掛けて来たんだよ」
「そういう話は神殿で聞きます!なんで私の話を聞いてくれないんですか!悪い事してたんだから神殿まで来て欲しいって言ってるのが分からないんですか?」
「分かってるよ。だから行かないって言ってるよね?」
はぁ、カイトの顔が見れないのが残念だけど、今ものすごくゲッソリとした顔をしてるんやろなぁ(ヽ´ω`)こんな感じの。いやぁ、回復してるなぁ。冒険の前にインベントリから盗み食いした回復薬が腹に残ってたとかなのかな?
「イナちゃん、どうしましょう。この方を捕まえたらツチノコの方を逃がしてしまいますし、ツチノコの方を捕まえたらこの方を逃がしてしまいますよね?」
「まあ、普通に諦めてくれたら良いんだけど……」
「諦めるですって?!そんな事できません!このゲームで強い人は良い人じゃないといけないんです!」
カイトのそのセリフに思う所があったのか詰め寄る様な音がする。いかん、音でしか周りを把握出来ない。ノコさんや腹の中は十分堪能したから出してくれませんかね?
モゾモゾと動くとグッ……と押し出されて口論が始まっている2人の前にべちゃあ………と吐き出される。
「やあ………俺も知らなかったよ。俺の相棒にこんなチカラがあった事にさ。」
見上げるとそこはかとなく満足げなノコがこちらを見下ろしていた。
─────────
「本当にごめんなさい!!!!」
実はこの精騎士物語オンライン、ゲーム内でもブラウザが開ける。相棒を管理する用のゲーム内端末が最初に降り立った神殿で配られるんだが、その端末で動画や音楽、漫画、果てはブラウザゲーム程度ならゲームまで遊べる。
だから気勢を削がれ勢いを無くした上級騎士サマにタクマのチャンネルを探して来て見せた。
生憎とタクマのチャンネルからは削除されていたが、魚拓を撮る奴なんていくらでも居る。案の定俺に絡んで来た所からの一部始終が転載されていたからね。
すると効果は覿面。非常に申し訳なさそうな顔をしながらペコペコし始めた。
「正義感に酔ってるタイプの人間かと思ってたら単純に曲がった事が許せない生粋のお嬢様だったとは驚いたね。おみそれした。」
「ホントホント、てっきり紛らわしい事をするからお前も悪い!って逆上されると思ってたから仕込みが無駄になったよ。リアルでも良いとこのお嬢様っぽいよな」
カイトのお嬢様って見立ては合ってる気がするな。なんというか若干世間知らずな雰囲気だし立ち振舞いが上品だしさ
「えっ、西条の家をご存知なのですか?貴方がたは一般の精騎士枠の方はこのフーバースでは匿名なハズなのに……もしや黄門様や徳田新之助様の様に身分を偽り市井に溶け込んでおられたのでしょうか?でしたら申し訳無いです!!その、失礼ですがどちらの家の方なんでしょうか?」
え、何この娘、ガチモンのお嬢様?家柄を聞くとか怖いんだけど!!
「あっ、そうでした。御館様にお伺いすれば分かりますよね。後日お詫びの品を送らせていただきます。それでは」
そう言い残し、帰還アイテムを使ったのか目の前から消えるお嬢様。あっ、最後まで名前知らねぇや。
「あの娘大丈夫かな……というか上級騎士ってやっぱり良いとこの出がなるっぽいよなあの様子だとさ」
カイトの台詞に俺は頷く。というかなんだよ西条の家ってそんな言い回し時代劇とかじゃないとなかなか聞かないやん
「それにさ、あの娘俺達に何処の家か聞いて来たぞ?リテラシーが無いって笑うだけなら簡単だがあの様子だといわゆる上級騎士って呼ばれてる奴らは独自のコミュニティがあるんだろ」
「たしかにな。俺もコウタも〇〇家の息子だぞ!みたいに自慢気に言える様な家系図してないもんな」
ここで上級騎士について説明しておこう!
上級騎士とは精騎士物語オンラインにおいて管理者から特権を与えられたプレイヤーの事だ。選出基準は不明ながら高レベルかつ妙に戦闘慣れした奴らが多いらしい。確かアジア鯖だと和風の相棒を連れてる奴が多い傾向があるとか言ってたな。
まあ一般ユーザーからすると貴族みたいなプレイヤーみたいな認識だったんだが……あの様子だとマジ貴族かもな……いや日本式に言えば華族か?
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