第14話 お見舞い

「エルウィー君!

大ボスを倒したのに、その謙虚さ!

君はウチのエースだ!」


「えっ…?

で、でも、俺はまだ臨時契約で…」


「何を言っている!?

君はクイーンゾンビを倒したんだぞ!?

臨時なと取りやめだぁぁ!!!

君はウチのエースになるんだ!!!」


「え…!?

そんな、お、お、俺なんかがエースなんて…!?」 


エースってもっと格好良くないとダメだろ…

そう自分で思って落ち込んだ。


「何を情けない顔をしているんだ!

華魔鬼凛のみんなが!

いいや、この町が!

いいや!

この島が!!!

君を祝福しているのが、私には見える!


さぁ、イエスと言ってくれ…!」


「も、も、もちろん、よろしくお願いします…!」


俺は少し痛む首を下げて挨拶した。


「そうか!

良かった!!!

エルウィー=S=ロロドロア!

華魔鬼凛の一員になる事をここに許可し宣言する!」


「は、はいっ!」


俺は、少しだけ、少しだけ、雑魚な自分を許せた気がした。


「実は君の傷が癒えるまで、打ち上げはお預けにしているんだ。

あぁ、これについては私の命令では無い。

華魔鬼凛の全員の総意だ。

君はもうすでにウチの大切なメンバーなんだ。」


俺はその言葉が嬉しくて、嬉しくて…

少し目頭が熱くなった。


「はい!

よろしくお願いします!

精一杯頑張ります!」


「うむ…!

打ち上げは来週の木曜日でいいか?」


「はい、それまでには復活できると思います。」


「そうか。

その前に回復したら、執務室に来てくれ。

大切な話があるんだ。

一部相談と言っても良いだろう。」


シュアララルさんは言った。


「あぁ、そうだ。

みんながお見舞いに来たいそうだ。

一人ずつ部屋に通しても大丈夫だろうか?」


「え、えぇ、構いませんよ。」


「そうか、では私はこれで失礼する。

お大事にしてくれ。」


シュアララルさんが部屋を出ていき、マイナちゃんが見舞い人を一人ずつ中に入れた。


「エルウィー!

てめぇ!

実力を隠してやがったな!」


マルスさんが、肉ハムを持ってきて、俺の部屋のテーブルに置きながらそう言った。


「い、いや、マグレで…」


「おいおい、それは逆に嫌味に聞こえるぜ!

まぁ、来週飲み明かそう!

それまで、ゆっくりな!」


「あ、ありがとうございます!」


「マルスさん、手短にお願いしますね。

みなさん待ってますから♪」


マイナちゃんがにこやかに釘を刺す。


「へーへー。

じゃ、またな!」


そして、次々と見舞いの人々がやってきてテーブルの上はプレゼントだらけになった。

うーん、総勢352人も居ると、覚えるのが大変だ…


しかし、初めてだった。

こんなにも沢山の人に感謝され、受け入れられたのは…

俺は、もう、自由になっていいのだろうか…?

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