第15話 待遇と相談

それから、しばらくは安静の日々が続いた。


やっと全回した頃に、シュアララルさんに執務室に呼ばれている事を思い出して、軽く着替えて向かった。


「やぁ、エルウィー君。

来てくれたんだな。」


シュアララルさんと軽く握手を交わして、俺はソファに座った。


「さて、どこから話すべきなのか…?

いや、我々は偉業を成し遂げた。

アンデッドの森・ゾゾロンの変異した大ボスを倒したのだから…

まぁ、君のお陰だ、という話は置いておいて…

今日は話を先に進めよう。


今君はウチの寮に入っているね?」


「は、はい、お世話になっています。」


「この広い敷地には、一軒家もある。

そのゲストハウスの一つを入団祝いの一つとして君にプレゼントしようと思う。」


「あわわわわ…!


え、と…

入団祝いの?」


「よく気がついたな。

そうだ。

もう一つの入団祝いは、金貨100枚。

給与としても、毎月金貨100枚を保証する。

どうだい?

足りないだろうか…?」


「そ、そ、そんな!

いただけませんよ!

俺が金貨100枚だなんて…!

人生の半分は遊んで暮らせる額です!」


「ふふふ…

そう言うな。

今回の討伐でウチに入った額は金貨2000枚だ。

君には金貨100枚を受け取る権利がある。

いや、むしろ少ないくらいだ。」


「で、で、でも…」


「エルウィー君、このパーティに入るのならば、堂々と受け取って欲しい。

君にはそれだけの価値があるんだ。」


「わ、分かりました…!」


「ふむ!

それでは、話をさらに進めよう。」


「と言いますと…?」


「今回我々は古代石碑にたどり着いた。

古代石碑については、知っているね?」


「はい、太古の石碑で、空の秘宝マクシミリアンの隠し場所を記した唯一の手がかり…」


俺は言った。


そう、古代石碑とは、この空の世界の各島のダンジョンの最奥に眠る石碑であり、空の秘宝マクシミリアンの在処が明記されているのだ。


「そう、そして、我々はその一文を今回の討伐で手に入れた。

そこにはこう書いてあった…


『私の名前はライゼル=S=マクシミリアン。

空島の最後の真の王である。』


とね。


恐らく古代石碑の出たし部分だと思われるが…」


「えーと…

変…です…よね…?」


「やはり君もそう思うか?」


変とすぐに言ってしまったのには理由がある。


空の秘宝マクシミリアンは、空島の始まりの王、ライゼル=E=マクシミリアンが作った物とされていたからだ。


それなのに、だって…?

それに、ミドルイニシャルがEでは無くS…?

これも、おかしい。

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