第11話 アンデッドの森・ゾゾロン

その日、総勢172人、華魔鬼凛の約半数をシュアララル・リーダーが従えて、アンデッドの森・ゾゾロンの探索&攻略に乗り出した。


アンデッドの森は卵の腐ったような匂いがするし、土はぬかるんでいる。


俺は部隊の中間地点付近で隊列について行った。


「リリ、探知始めてくれ。」


『キュー!』


『シュアララルさん、前方から3体のモンスターが来ます!』


『了解!

種別は分かるか?』


『ゾンビ系のモンスターかと思われますが、詳細は不明です。』


『了解。

引き続き警戒してくれ。

前衛部隊、迎撃準備!』


シュアララルさんの声が最後の伝達機から聞こえた。


大丈夫、華魔鬼凛ならゾンビ系のモンスターも難なく倒せるはずだ。

俺は自分の事に集中しなきゃ。


その後、順調に進んでいき、中ボス戦に辿り着いた。


『エルウィー君、隊の前方に来てくれ。』


『えっ、あっ、はい!』


俺が前方に向かうと、ちょうど中ボスのドレスゾンビとタキシードゾンビが現れた所だった。


「エルウィー君、華魔鬼凛の実力を見ておいてくれ。

戦士部隊!

ユーラ、ミズ、センシア、アイナはドレスゾンビを!

スーベルシア、レオン、ガミア、ハックはタキシードゾンビを仕留めろ!

後衛部隊、バフをかけ、炎魔法、聖魔法で援護しろ!」


シュアララルさんの指揮で華魔鬼凛のみんなは、連携を取りながら中ボスに挑む。


炎の剣エスパダ・ヤメアンテ!」

貫け、火球ペルファラ・ファエゴ!」

魔力アップエンセンド・マフィゴ!」


ドレスゾンビは肉体を斬られていき、タキシードゾンビは炎魔法によって焼きつくされていく。


勝負あった…!


華魔鬼凛の前衛部隊は見事に中ボス戦を収めた。


俺の…

出番なんか…

無いよね…


何となくシュン…としてしまう。

いかん!

喜ばなくちゃ!


「どうだ、エルウィー君?」


シュアララルさんが満足気に尋ねた。


「は、はい!

素晴らしかったです!」


俺はそう答えた。


『華魔鬼凛のみんな、これが大ボス戦に挑む前の最後の伝達だ。

大ボスは変異している。

多数の犠牲が出るかもしれない。

全員で生き残る為に…

仲間の存在を忘れるな…

諸君らは、一人じゃ無い。


共に命を賭けて戦おう。』


そして、華魔鬼凛の全員から怒号のような雄叫びが上がった。


そして、大ボス戦に入った。


クイーンゾンビは変異しており、巨大化しており翼が生えていた。

その様相は神々しくさえあった。


「総攻撃ィィィ!」


スーベルシアさんが氷の剣を携えてクイーンゾンビに斬りかかる。

クイーンゾンビは金切り声を上げて、翼で氷の剣を弾き飛ばした。

スーベルシアさんも木に衝突してしまった。


「スーベルシアさん…!

リリ、回復を!」


『キュー!』


「私はいいわよ…

大丈夫だか…ら…

あんたは攻撃に加わりなさい…」


「で、でも…!」


その間にも、次々と負傷者が出ている。

華魔鬼凛の戦力は半分程まで落ちていた。

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