第10話 魔術勉強会

その日の朝、罠解除師のソフィアさんが俺の部屋にやってきた。


「やぁ、エルウィー君。

私は華魔鬼凛の罠解除師のソフィアだ。」


「あ、お、おはようございます…!」


俺はそう挨拶する。


「今日は休みだね。

次に行く時はアンデッドの森・ゾゾロンの最奥の大ボス戦まで進まなくちゃならない。」


「は、はぁ…

いえ、そうですね…!」


ソフィアさんが何が言いたいのか分からないまま、俺はそう答えた。


「君さえ良ければ、今から華魔鬼凛の魔術勉強会に招きたいんだ。」


華魔鬼凛の魔術勉強会…?


「え、えーと…

は、はい、よろしくお願いします…」


「良かった。

魔術勉強会は1階の会議室の一つを貸し切っているから、ついて来てくれ。」


ソフィアさんはそう言って歩き出した。


魔術勉強会…?

一体どんな物なのだろうか?


1階の会議室につき、扉を開けると、おびただしい数の本がテーブルの上に並べられていた。

どうやら、魔術書のようだ。


「みんな、エルウィー=S=ロロドロアだ。

彼はダンジョンを地図化し、さらに、トラップを正確に把握する技術も持っている。

みんな、何でも彼に質問してくれ。

お互い高め合っていこう。」


ソフィアさんが紹介する。


「いえ、そんな…

俺が答えられる事なんて…!

でも、よろしくお願いします!」


♦︎♦︎♦︎


「つまり、セイントラビは聖属性の魔術に特化していると言う事よね?」


「基本的には、そうです。

けど、セイントラビのリリは多分セイントラビの亜種です。

分類すると、聖兎族兎科目長毛種ですね。

普通は聖族兎科目毛種なので、少し他の種と違っています。

1.5倍はリリだけが使える特殊な能力の一つなんです。」


「なるほど、それで、鑑定や探知能力があるわけね。」


ダリアさんが言う。

彼女は白魔法を主に学んでいるらしい。

まだまだ発展途上だと言うが、華魔鬼凛に所属しているのだから、ある程度の実力はあるだろう。


「トラップ探知についてだが、私も罠解除師だからある程度は探知できるんだよ。

でも、君みたいに百発百中とは行かないな。」


「そんな…

俺も百発百中なんて…

たまたま当たっただけで…

あ、でも、トラップ探知については、セーラ=O=マーベスクさんの『罠の全て』という論文が参考になるかと…」


「なるほど…

でも、その論文はあまり聞いた事無いな。」


「えーと、今はもう出回って無いと思います…

俺が持ってるコピーで良ければ…」


「本当か!?

ぜひ、貸してくれ!」


ソフィアさんは身を乗り出した。


「ソフィアさん、そろそろ第53回目の魔術勉強会を終わりますよ?

では、みなさん、解散です!

お疲れ様でした!」


ダリアがそう言って解散になった。

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