第6話 迷いの森・フェレシー

「マルスさん、よろしくお願いします…

エルウィー=S=ロロドロアです…」


「あぁ、よろしく。

しかも、エルウィーよ、あんた、パーティ統括所の所長からの推薦なんだってな。

何かツテでもあるのか?」


「い、いえ、俺も何で推薦されたのか…?」


「でもでも!

リリちゃんにすごい能力があったりしてー!」


「リリの能力は…」


探知と鑑定と回復なんて…

もう言えない…


セイントラビのリリが俺の袖を掴んでちょいちょいと引っ張った。

何かあるサインだ。


「リリ、どうした?」


『キュー!キュー!』


「前方10メートル右にトラップ出現…です!」


「こりゃたまげた、セイントラビの言ってる事が分かるのかい!?」


マルスさんが言う。


「え、あ…

魔獣語学を学んでて…

少し…」


「そうか…

『シュアララルさん、前方10メートル右にトラップの可能性だそうです!』」


マルスさんは伝達する。


『エルウィー君だね?

何系のトラップか、分かるか?』


「え、はい…

リリが探知した物によれば、電撃系のトラップかと…」


トラップを見つけた時の対処法は3通りだ。

1、万全の状態であえてトラップを発動させる。

2、通路を変更して避ける。

3、罠解除師に解除してもらう。


恐らく、このレベルのパーティになると、罠解除師が居るはずで…


『こちら、ソフィア。

前方10メートル右の罠解除しました。

ドンピシャでしたよ。』


『ご苦労、ソフィア、エルウィー君。』


「すっごぉぉぉい!

シュアララルさんに褒められるなんて…!」


マイナちゃんが言う。


「い、いや、偶然だよ…

リリ、引き続き頼む。」


『キュー!』


リリは返事すると、探知を発動し続けた。


地図も作らないといけない…か…

リリの探知能力を更に細かくして…

道を割り出すっっつ!


それを構造化して、空間図形を作る。


こう来て…

こう来たから…


中ボスはここだ!


「多分、中ボスの居場所特定出来ました。」


「おっし!

伝達する!


『シュアララルさん、中ボスの居場所が探知出来ました。

前方50メートルの空き地だそうです。』」


『そうか…

中々見事な探知だった。

戦闘でも期待していると言ってくれ。』


「あわわわ…

せ、せ、戦闘…!?」


俺はビビって退け腰になる。

戦闘においては、ろくに良い事が思いつかない。

閃光スパークルパーティでは、役立たずだとなじられ続けた。

実際に役立たずなんだけど…


そして、30人余りの華魔鬼凛パーティが中ボスの空き地にたどり着いた。

リーダーのシュアララルさんはボス戦に加担する事は滅多に無いらしい。


「来ます!

ブラッディタイガーです!」


俺は左斜め上の木の上を指してそう言った。

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